社員紹介

難しい技術をわかりやすくして現場に浸透。セキュリティの専門家の飽くなき挑戦

岩田 総一朗

ICT(セキュリティ)
2020年新卒入社

新卒入社技術系ICT(セキュリティ)

パナソニックオートモーティブシステムズは、社員一人ひとりの成長と自律的なキャリア形成を支援するため、さまざまな人事制度や研修プログラムを整えています。
加えて、各部門でも担当事業や専門性に沿った独自のキャリア支援を行っています。

今回は、2020年新卒入社 岩田総一朗さんへインタビューしました。「セキュリティに関わる仕事をしたい」と2020年に新卒入社した岩田は、4年間携わってきた鍵管理共通システムのプロジェクトで初期導入コストと運用コストの大幅削減を達成に貢献しました。さらに、耐量子計算機暗号への移行などセキュリティの最前線で奮闘する岩田が、仕事のやりがいや会社の魅力を語ります。

社内のすべての人にセキュリティをわかりやすく伝え、共通化・自動化を推進

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──所属している部署とミッションを教えてください。

開発本部 プラットフォーム開発センター セキュリティ開発部 開発2課で、主任技師として働いています。開発2課は、パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社(以下、PAS)で開発する商品や製造現場に対して、セキュリティ対応の共通化と自動化を進め、時間とコストを削減することがミッション。社内向けのインフラやシステムの開発が中心ですが、社内で使用しているシステムは社外でも需要があるため、今後は社外展開も進めていく方針です。

──その中で、岩田さんが携わっているのはどんな業務ですか?

担当している業務は主に2つです。1つめは「鍵管理共通システム」の開発・導入と運用の推進です。これまで各開発現場や製造現場で個別に管理していた暗号鍵を高いセキュリティレベルで一元管理するシステムで、2021年から約4年間、一貫して携わってきました。普段は10名弱のチームですが、現場へのシステム導入の際は情報システム部門や製造部門、事業部門と連携しながらプロジェクトを主導しています。その中で主に新機能開発や脆弱性対応などのシステムメンテナンス、お客さまとの窓口やシステムの現場導入時の技術課題解決を担当しています。

2つめは「耐量子計算機暗号(Post-Quantum Cryptography。以下、PQC)への移行」に向けた検討・研究です。今後、実用的な量子コンピュータが普及した場合、現在使用されている暗号方式は危殆化やセキュリティレベル低下の危険があります。そのため、2035年までに現行の暗号方式からPQCへ移行することをめざし、関連の研究や市場動向調査、課題の洗い出しや解決方法の検討などを行っています。

──仕事をする上で大事にしていることを教えてください。

「最終的にPASの事業部へ還元する」ということです。鍵管理共通システムもPQCも、事業部のセキュリティ専門ではない人たちに使ってもらうことが目標。現在は、どんな製品の機能開発においても、携わる全員にセキュリティの知識が求められます。そのため、最新情報のキャッチアップはもちろん、それをわかりやすく伝え、使いやすい形で技術情報を提供することを常に意識しています。

将来性を確信しモビリティ業界へ。鍵管理共通システムで大幅なコスト削減を達成

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──学生時代の研究や就職活動について教えてください。

もともと、社会的に重要な「セキュリティ」という分野に強い興味がありました。大学・大学院では工学研究科で中小企業のセキュリティ支援について研究しました。企業の社員の方向けに、パスワードの適切な設定や管理方法といった基本的なことの教育から、企業のネットワークセキュリティ改善活動などの実践的な対策まで、幅広い支援を行っていました。中小企業の方々と直接対話する機会もあり、ここで培った“お客さまの視点”は現在の業務にも活きています。

就職活動では、学んできたことを活かしてセキュリティに関わる仕事を希望していました。その中で、モビリティ業界は自動運転などの新技術が注目され、今後セキュリティが極めて重要になることは明らかだと感じました。将来性があり、やりがいのある仕事になると確信し、PASへの入社を決めました。

──2020年に入社後、1年目に携わった業務について教えてください。

入社後は、希望が叶いセキュリティ開発部に配属されました。1年目は、多くの時間を研修に費やしながら、OJTで商品のセキュリティ機能開発の一部を担当。大学院でのセキュリティ知識が活かせた部分もありますが、実務での新たな学びも多くありました。

たとえば大規模な開発チームでの業務の進め方、仕様書や設計書などのドキュメント作成、コーディングやテストなどの一連の流れ、関係部署とのやり取り、QCD(品質・コスト・納期)を意識した仕事の進め方などは、上司や先輩のサポートを受けながら学んでいきました。ここでシステム開発の一連の流れを経験できたことは、2年目以降に非常に役立ったと感じています。

──2年目から鍵管理共通システムに携わるようになったんですよね。きっかけは何だったのでしょうか?

上司からの打診でしたが、自身でも積極的に手を挙げました。このプロジェクトでは自ら手を動かすなどのチャレンジも含めて担当範囲が広がり、責任も増しました。会社全体に影響を与えられるという点でも、新たな楽しさやおもしろさがあると感じました。

また、初めてお客さまの窓口としてやり取りも経験。単に開発するだけでなく、お客さまにきちんと重要性を理解して使ってもらえるシステムを作るために連携する大切さも学びました。

──プロジェクトの成果について教えてください。

4年間の開発期間を経て、これまでに国内外の4つの工場に導入を完了。システムを共通化したことで、初期導入コストと運用コストの大幅削減を実現しました。システムの導入の際、とくに海外の製造現場では、異なる国や部門のメンバーをまとめながらシステムを導入する必要がありました。

他の製造システムとの競合や海外特有のルールと現地文化の影響により、さまざまなエラーが発生しました。ログ解析などから原因を特定し、システムの改修や調整を重ねた結果、ようやく導入に成功しました。システムの利用が始まったときの達成感は、苦労した分、とても大きなものでした。

社内の成果報告会で発表し、多くの人から「これはすごいね」「この額を削減できたのは大きいね」など評価の言葉をもらった時は、自分が担当したプロジェクトが会社に貢献できたというやりがいと自信を得ることができましたね。

会社全体に影響する新たなミッション。難しくもやりがいある耐量子計算機暗号への移行

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──PQC移行のプロジェクトに関わることになった経緯を教えてください。

私自身のPQCへの強い興味と今まで培ってきた暗号技術に関する知見に加え、鍵管理共通システムとの関連性が大きな理由です。暗号に特化した業務経験や知識を活かせることはもちろん、PQCに移行するには、他の製品に先立って、鍵管理共通システムの移行を優先的に行う必要があるんです。これらを踏まえると私が適任ということで担当することになりました。

プロジェクトは2024年度からスタートし、約1年が経過したところ。現在は5名の小規模なチームですが、今後技術が成熟して実際に暗号を移行するフェーズになればメンバーを増やす予定です。また、パナソニック ホールディングスとも連携しており、将来的にはさらにリソースを拡大する構想があります。

──現在、PQC移行のプロジェクトではどのようなことを行っているのですか?

暗号方式やアルゴリズムの選定を進めている段階なので、それぞれの特徴や使用上の課題について研究論文などをベースに情報収集を行ったり、実際に使って課題を抽出したりすることに努めています。

そのほか、研究発表への参加、他社の研究者との情報交換、海外の専門家へのヒアリングなど、国内外問わず最新情報のキャッチアップも欠かせません。また、PQCの情報はたくさんあっても、車載という専門的な情報は少ないんです。同じ部署の各製品のセキュリティ担当者にヒアリングなどを通して、現場の声から学んでいます。

──このプロジェクトの難しさと魅力を聞かせてください。

プロジェクトの最終目標は、PAS製品や社内インフラすべてをPQCへ移行することです。達成できない場合は、ネットワークに接続できない、製品を出荷できないといったリスクが発生する可能性があるため、大きな責任が伴います。さらに、変動が激しいモビリティ業界で常に最新情報をキャッチアップし、その中で社内向けに重要なものを見極め、事業部に伝えるために適切に噛み砕く、というのも難しい部分です。

一方で、セキュリティのプロフェッショナルとして、最先端の情報から得た技術を活用して、自信を持って取り組めることは大きなやりがいです。とくに暗号や鍵は、セキュリティの中でも最も根幹となる要素。重要な情報資産を守り運用しているのだと自負しています。

チャレンジを適切に評価してもらえる環境で、暗号技術のプロフェッショナルに成長

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──岩田さんの今後のビジョンを聞かせてください。

鍵管理共通システムは来年~再来年度に国内外で導入予定の案件が控えているので、それらを完遂して製造現場のセキュリティレベルの底上げをめざします。PQCへの移行は2035年末までという長期的なプロジェクトとなりますが、PAS全体に貢献できる重要な取り組みとしてしっかりやり遂げたいですね。

個人では、暗号技術の知見をさらに高め、この分野のプロフェッショナルになることが目標です。セキュリティは非常に幅広い分野ですが、だからこそ特定分野を極めることに大きな価値があると考えています。「暗号のことなら岩田に聞けば良い」と社内外から頼られる存在になることをめざしています。

──PASの魅力はどういう点にあると感じますか?

若手のうちからチャレンジや成長の機会を与えてくれることです。また、機会があるだけでなく、それを適切に評価してもらえる点も魅力です。難しい業務に挑戦する際も、上司や先輩、後輩を含めた相互のサポート体制があり、最後までやり遂げることができます。

このような環境があるからこそ、難しい業務にも積極的にチャレンジしようという気持ちになれますし、評価をもらうことでさらなるモチベーション向上にもつながります。私自身、入社前はサポートがなければチャレンジするリスクは大きいと考えていましたが、今ではどんどん挑戦するようになりました。

──セキュリティ開発部において求める人材像を教えてください。

チャレンジや成長ができる環境に加え、セキュリティの観点では、モビリティ業界は技術が急速に発展しています。技術の進化や変化、そして自身の成長を一緒に楽しめる方を求めています。

大学でセキュリティを専門的に学んでいなくても、興味があれば十分活躍できる環境が整っています。私の部署でも、未経験だけど興味があるという人が周囲のサポートを受けながら成長し、活躍しています。技術があればもちろん良いですが、なくても興味があることは重要な適性です。この分野を一緒に盛り上げていきたいですね。

──最後に、採用候補者、とくにソフトウェア人材の学生に向けてメッセージをお願いします。

PASのセキュリティ技術は業界でもトップクラスだと自負しています。サイバーセキュリティ対応商品の開発実績も豊富で、車載セキュリティに関わる特許数とその質の高さの総合力ではパナソニックグループは業界トップであるという評価をいただきました(※)。

現在も、自動車サイバーセキュリティソリューション「VERZEUSE®」シリーズの開発や、社内外への広報・展開を進め、さらなる技術力の向上に努めているところです。今来ていただければ、この勢いややりがいを経験できると思います。

2000年から2022年のパテント・リザルト社の調査

キャリア形成のカギを握る
成長支援プログラム

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キャリア形成のカギを握る成長支援プログラム

パナソニック オートモーティブシステムズのキャリア形成支援には、さまざまな形があります。人事がカリキュラムを整える研修プログラムや、個人が学習テーマを選択するオンライン研修、資格取得の支援、上司との1on1 Meetingやメンター制度などのコミュニケーションプログラム、Career PASport(社内公募異動制度)や社内副業、社外副業といった別フィールドでの飛躍。

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※記載内容は2025年3月時点のものです

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