敦賀工場の育児と仕事を両立させるロールモデルに。
不具合発生を未然に防ぐ、品質部門の次世代リーダー
植林 恭子
品質保証部 品質技術課
品質管理・環境
2009年新卒入社
パナソニックオートモーティブシステムズは、社員一人ひとりの成長と自律的なキャリア形成を支援するため、さまざまな人事制度や研修プログラムを整えています。加えて、各部門でも担当事業や専門性に沿った独自のキャリア支援を行っています。
今回は、2009年新卒入社 植林恭子さんへのインタビューしました。品質保証部 品質技術課で、製品審査を担当する植林 恭子。2009年の入社以来、一貫して品質保証に携わってきた植林は、品質部門の次世代を担うリーダーとして活躍しています。物質工学科で学んだ化学の知識を活かして、製品のクオリティを保証する植林が大切にする価値観、そして仕事の醍醐味を語ります。
期待通りのクオリティをお客様に届けるために。膨大な品質評価を経て製品を送り出す
──現在の仕事内容を教えてください。
品質技術課は、新製品や変更品の製品審査を行い、量産品質を確保できているかを評価する部署で、重大な市場問題を起こさないようにするための“関所”のような役割を果たしています。そこで私は主務として、主に分析業務に携わり、さまざまな分析機器を用いて工程や製品の不具合の解析・検証を行っています。
メインで扱っているのは、オーディオや走行アシストスイッチをハンドル手元で操作するステアリングスイッチや、エアコン操作をするインパネスイッチ、ウィンカーやライトを操作するコンビネーションスイッチ、ブレーキペダル付近にあるストップランプスイッチなどの車載用スイッチ・センサー全般です。
──新製品の評価は、どのように行うのでしょうか?
電気的特性や静電気などの電気評価、環境試験、操作耐久試験など、お客様からの要求も含めると100項目以上の試験で評価を行います。評価期間は約半年ほど。評価中に不具合が発生した場合は対応に時間が掛かることも想定して、評価期間を設定しています。
評価のポイントは、まずはお客様から要求される条件──操作のフィーリングやどのくらいの力で押すとスイッチがオンになるかなどの基本性能をチェックします。それぞれの項目に社内規格を設けているのですが、条件を満たしているかだけでなく、想定外の使われ方をした場合どのような壊れ方をするのかといったテストもします。
また、自動車はさまざまな環境下で使用されるので、外気温がマイナス40度の場合や、車内温度が90度になった場合などを想定した環境評価もあります。
──品質評価を行う上での課題や工夫している点はありますか?
開発スケジュールを取りまとめているマネジメント部門、生産ラインを作っている生産技術部、組み立てをしている製造部、調達部門などの関係部署と綿密にコミュニケーションを取っています。試験を実施する場合は私たちが旗振り役となり、要請があればすぐに対応できるようにしています。
もし評価中に不具合があれば、まず設計部門に即時に連絡。そして関連部署も含めた関係者を招集して、今後の進め方や改善の解析方法、スケジュールなどの詳細について打ち合わせをします。評価期間が想定を上回る場合は、中間の評価結果で判断していただくように、設計部門と一緒にお客様と折衝することもあります。
──品質保証の仕事を進める上で、大事にしていることはありますか?
エンドユーザー様の顔を思い浮かべながら仕事を進めるようにしています。私自身も日頃から自動車に乗っているので、「自分だったらどう思うかな」と考えながら、エンドユーザー様の使い方を想定した評価や対応を心がけています。カーメーカー様の要求を満たすだけでなく、実際に使う立場になって判断することが大切だと思っています。
学生時代に学んだ化学の知識が活かせる品質保証の仕事
──学生時代はどのような分野を学んでいましたか?
学生時代は、物質工学科で化学を専攻していました。さまざまな材料の組み合わせによって左右される製品の良し悪しに、化学の知識が活かせています。学生時代に習ったことが、実はこういうことだったんだと理解できる瞬間があるので、学んできたことが今の仕事につながっているなと思うことがあります。
──就職活動ではどのようなことを軸に企業を選びましたか?その中で当社を選んだ決め手は?
地元企業への就職を希望していました。パナソニックグループは大企業というイメージがあり、仕事内容はもちろん福利厚生や休日、給与面なども含め、自分の人生設計がイメージできそうだと感じたため応募しました。
説明会に参加して印象的だったのは、人事の方が、入社したらどのような仕事ができるかや職種構成の詳しい内容など、いろんなことを丁寧に教えてくださったこと。面接では、面接官の方が質問にフォローを入れてくださる場面もあり、助け合える雰囲気のある会社だと思ったことが入社の決め手です。
──入社から現在に至るまでの担当業務について教えてください。
入社以来ずっと品質保証部に所属しています。今年で16年目になりますが、ずっと一貫して分析業務を中心とした品質検証や製品審査に携わっています。入社直後は製品審査係に配属され、そこで製品審査をしながら分析業務も学んでいきました。
その後、2度の産休・育休を取得。1度目の復職時に市場品質管理係に異動した後、3年前に再び製品審査係に戻りました。担当業務のウエイトは変わっていますが、基本的にやっていることの芯は一貫しています。
社内制度の利活用で主務のポジションと育児の両立をめざす
──これまでの業務からどんな学びがありましたか?
品質保証の仕事は、品質保証部門だけでは完結しません。何か問題が起こった時の解決には、製造工程での対応が必要だったり、さまざまな要因が絡んできたりします。実際に業務を進めていくうちに、他部門とのつながりの大切さについて身をもって知りました。
自分自身が壁にぶつかった時は、他部門の方から私たちとはまた違う視点のアドバイスをもらうことがとても学びになります。そうした関係性をいろんな部門の方と築けるように、できる限り対面でのコミュニケーションを心がけています。
──このたび主務に昇格されたきっかけを教えてください。
気づけば入社して15年が経ち、敦賀工場では自分が中堅社員の位置づけになっていました。後輩の指導など責任ある仕事が増える中で、上司からスキルアップやキャリアアップをすすめられたのを機に昇格しようと決意しました。
昇格のタイミングがちょうど子育ての繁忙期と重なっていたので、当初は不安もありました。でも、時短を活用していたことと、子育てに理解を示してくれる周りのサポートに支えられて乗り越えることができました。
──どのような時に周囲のサポートを感じましたか?
子どもの学校行事や、急な発熱や風邪でお休みする時ですね。日頃から子育ての状況を共有し合って、「お互いさま」の精神で助け合いながら仕事を回していけるのは本当にありがたいです。困った時に気軽に相談しやすい環境で、周囲の理解とサポートのおかげで仕事と育児を両立できています。
──これまでマネジメントを手がける、育児と仕事を両立させるロールモデルはいましたか?
最近だと、私より1年前に同じような状況で主務に昇格された同年代の方がいました。社内に「キャリアっち」という1on1制度があるのですが、その方とペアを組んで「どのように仕事を進めていけばいいのか」といった具体的な話題について、詳しく話を聞きながらアドバイスを受けることができました。
──「キャリアっち」というのは、どのような取り組みなのでしょうか?
キャリアに悩んでいる社員が、お互いのスケジュールに合わせて先輩社員に相談できる社内プロジェクトです。先輩・後輩の関係を作ることで、自分のキャリアについてじっくり話ができるのでとても心強いです。
育児と仕事を両立させるロールモデルに
──さまざまな学びと刺激のある環境が成長を後押し
──やりがいを感じる瞬間はどのような時ですか?
原因がわからなかった不具合の要因を突き止められた時や、長い道のりを経て量産までこぎつけられた時などです。昨年担当した製品は、量産までたいへんな苦労がありましたが、なんとか量産できた時には、メンバーと一緒に達成感を味わうことができました。
品質保証部門は量産の是非を判断する立場でもあるので、わが子を送り出すような感覚を持っています。
──今後のキャリアプランについて、どのように考えていますか?
敦賀拠点の中で、育児と仕事を両立させる1つのロールモデルとなれるよう、私がこれまで受けてきたサポートを後輩にも伝えていけたらと思っています。もちろん、自身のスキルアップも図りながら成長していきたいです。
──品質保証部門の専門家として、今後どのような役割を担っていきたいですか?
まずは、分析業務の第一人者となれるようにさらに専門性を高めていくこと。そして社内の他拠点の品質部門とも太いパイプを築き、解決が難しい課題については周りを巻き込みながら品質の向上やスキルアップ、解析力強化を図っていきたいと思います。
──最後に、学生の皆さんにメッセージをお願いします。
私は当社に入社するまで、自動車のスイッチがどういうものなのか詳しくは理解できていませんでした。それでも品質保証部門の一員として働く中で、わからないなりに一生懸命考えて提案すると「それは新しい視点だね」と認めてもらえることがありました。いろんな考えや立場の人を否定せず、受け入れてくれる環境だからこそ、成長できたのだと思います。
周りには自分のやりたいことを見つけてどんどんチャレンジする人がたくさんいて、そこから私も良い刺激をもらっています。規模の大きい会社で、学びのチャンスはいくらでもあるので、ぜひ一緒に成長していきましょう。
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