「必要なのは守りではなく、攻めの姿勢」。次世代の環境リーダーが語る、新しい企業価値への想い
八重垣 稜佑
環境推進部
品質管理・環境
2019年新卒入社
パナソニックオートモーティブシステムズは、社員一人ひとりの成長と自律的なキャリア形成を支援するため、さまざまな人事制度や研修プログラムを整えています。加えて、各部門でも担当事業や専門性に沿った独自のキャリア支援を行っています。
今回は、2019年新卒入社 八重垣稜佑さんへのインタビューしました。2019年にパナソニック オートモーティブシステムズに入社した八重垣 稜佑。現在は環境推進部 製品環境法規課の中堅リーダーとして社内外の多くの人々と連携して「環境」の視点から課題解決に向けた取り組みを行っています。環境リーダーとして成長を続ける彼が、仕事の魅力ややりがいについて語ります。
環境経営の最前線で──社内外の人たちと連携し解決策を導き出す
──現在の仕事内容について教えてください。
環境推進部は、当社のミッションである「一人ひとりのより良い暮らしの実現のため、持続可能なモビリティ社会を創造する」を達成するため、製品軸と工場軸の両軸で当社の環境経営に取り組んでいる部門です。
環境や人の健康に有害な影響を与えることが懸念される化学物質は世界各国で法規制されており、グローバルに事業を展開する当社は、製品に含まれる化学物質を適切に管理する必要があります。
私は製品環境法規課に所属し、当社製品が移り変わりの激しい各国法規制に適合しているかをチェックする社内システムの維持管理や、業界団体を通じた各国法規制等へのロビー活動を主に担当しています。法規制が成立してから対応する(守りの姿勢)だけではなく、その検討が始まる段階で情報を収集、影響分析し規制当局に意見提出や折衝を行う渉外活動(攻めの姿勢)に取り組んでいます。
──仕事のやりがいはどのようなところにありますか?
社内外の人たちと連携しながら、常に変化する環境法規制の最新動向をキャッチし、モビリティ業界の実態を踏まえた最適な解決策を模索することにやりがいを感じています。
例えば、国際条約において自動車部品に使用される物質の新たな規制が検討される際には、業界団体に参加する社外メンバーとともに、その物質の使用実態や代替の可能性を徹底的に調査します。
その調査結果と、規制がそのまま制定された場合の業界への影響予測をもとに、規制当局に規制内容の修正を求めて年単位で何度も交渉を行います。この粘り強い活動の結果、我々がめざす規制内容の修正が叶ったときには、当社だけでなく業界全体に貢献できたという誇らしさを感じます。
また、環境保護と産業の持続的な発展という、一見相反する目標のバランスを探る仕事に難しさを感じつつも非常にやりがいを感じています。
「物をつくる前にまず人をつくる」姿勢に共感。環境分野へのキャリアの第一歩
──学生時代と入社までの経緯について教えてください。
大学院まで応用化学を専攻し、電気化学を駆使した細胞活動量の分析手法の確立をめざして研究していました。化学の探究心を糧に、新しい技術や知識に触れるおもしろさを実感し、そうした新しいことを学ぶ姿勢や学びを体系化していくことは今の仕事にも通じています。
企業選びでは、化学の専門知識を活かし、仕事を通じて自ら成長できる場を探していました。その際に、パナソニックが掲げる「物をつくる前にまず人をつくる」という人財育成に対する姿勢に強く惹かれ、また環境部門で働くという私の第一志望を叶える形で、入社することができました。
──入社後、どのようにキャリアを歩んできましたか?
現在の部署に配属後すぐ、モビリティ業界共通で使用される化学物質データの伝達システムと当社の化学物質データの管理システムの連携をめざす新規プロジェクトに参加しました。私の主な役割は、サプライヤーから受け取った化学物質データとお客様へ送信するデータが環境法規に順法しているかどうかを自動でチェックする機能の強化でした。
未経験のシステムや環境法規の知識を身に着ける過程は大変苦労しましたが、経験豊富な先輩方の指導のもと、担当業務を無事に完遂することができ、また連携プロジェクトも滞りなく完了できました。
このプロジェクトを通じて、当社が順守すべき法規制や業界ルールの基礎知識を得られただけでなく、チームとして大きな目標を達成する経験は、私のキャリアの出発点として現在の私を形作るとても貴重な財産になっています。
ルールを守る側から作る側へ。ワーキンググループでの成長と新たな挑戦
──システムの連携プロジェクト後は、どのようなことに取り組みましたか?
システム連携後、新たに発生した業務課題を解決するため新しい取り組みに着手しました。当社は先ほどの業界共通のシステムを用いて、サプライヤーから集めた各部品の化学物質データを製品データとして集約し、お客様へ回答しています。
それらの化学物質データは、モビリティ業界が定める厳格な入力ルールに従う必要がありますが、システムに不慣れなサプライヤーから提供されるデータはルールに適合しておらず、品質が不十分でした。事業部門の担当者は、この問題に対応するために負荷が増えてしまい、お客様へ高品質な化学物質データを回答することが難しい状況となりました。
この状況を改善するために、事業部門や調達部門のメンバーで構成されるワーキンググループを立ち上げ、化学物質データの品質向上に向けた取り組みを開始しました。このワーキンググループのリーダーを私が務め、グループメンバーと議論しながら最適な改善策は何かを検討し、推進しました。
具体的な施策の一つとして、主要なサプライヤーが集中する日本、中国、ASEAN地域を対象に説明会を開催し、社内においてもシステムの運用ルールに関する教育を実施しました。その結果、半年ほどで品質不十分なデータが激減し、お客様へスムーズに高品質な化学物質データを回答できるようになりました。
ワーキンググループ活動では、各事業部門固有の業務課題や生の意見を直接聞く機会となり、現場感や広角的な視野を得ることができました。また、多様な意見をまとめる難しさと同時に衆知を集めて最適な結論を見出す経験を積むことができました。
──業界団体での活動について教えてください。
業界団体での活動を始めたのは、4年目に入ってからです。この機会を得たきっかけは、モビリティ業界共通で利用される化学物質データの伝達システムが、カーボンニュートラルやリサイクル社会の実現に向けた大型の機能拡張やルール改定を毎年行い、当社への影響が年々大きくなってきたからです。
この変化に迅速かつ適切に対応していくためには、より正確な情報をより早期に把握することが重要と感じ、思い切って上司に相談したところ、関連する日本自動車部品工業会の分科会を紹介され、参加することになりました。
今では、その業界共通システムの開発会議に我々の工業会代表として参画しており、ルールの草案作りにも積極的に携わっています。私の意見が実際のシステム開発やルールに反映される機会が多くなり、単にルールを守る側から、作る(攻める)側へと大きく立場が変わっています。
モビリティ業界の方向性を決める責任ある役割をこれからも全力で果たしていきたいと思っています。
環境の視点から経営そのものの牽引をめざしたい──環境リーダーとしての想い
──今後のキャリアの展望について教えてください。
私は、将来的には環境の視点から経営そのものの牽引をめざしています。今は、その第一歩として製品環境法規の専門家になりたいと思っています。そのために、世界各国の法規制を広く、深く理解することで、戦略的に渉外活動や化学物質管理を推進していきたいと考えています。
この目標は一朝一夕でできるものではありませんが、社内外の人たちとの連携を深めながら、業界共通のシステムの開発会議への参加だけでなく、法規制の国際的な会議へも参加し、グローバルな競争力のある製品環境法規の専門家としてのキャリアを築いていきたいと思っています。
──次世代の環境リーダーとして、めざしていきたい役割はありますか?
製品環境法規の専門性を高める中で得た材料や製造に関する知識を基盤に、次世代の環境リーダーとしてカーボンニュートラルやリサイクル社会の実現に向けた幅広い環境分野での役割を担っていきたいと考えています。
これまで以上に環境に関する動向を把握しつつ、業界横断的に社内外の人脈を広げ、政策やルールを作る立場として、モビリティ業界をリードする存在となり、高い環境価値の製品をお客様にお届けしていきたいです。
──最後に、パナソニック オートモーティブシステムズの魅力と、どんな人が向いているのかを教えてください。
この会社の魅力は、若手でもチャレンジの機会を与えてくれる環境にあると思います。そして、そのチャレンジを適切に評価してくれる点も大きな魅力です。
上司とは、頻度高く1on1ミーティングを行い、キャリアの相談や業務推進上の悩みを聞いてもらったり、都度自分の仕事に対して細かくフィードバックをもらったりと、チャレンジを後押してくれていると感じています。自分の努力が認められ、評価されているという実感が得られることはとてもありがたいです。
そうした職場環境だからこそ、前向きに、果敢にチャレンジできる人が向いていると思います。私の仕事は法規制対応という守りのイメージを持たれがちですが、実際には外部と交流を深めながら情報収集を行い、規制そのものへの提言や交渉を行うなど攻めの姿勢も求められます。
そうして得た情報や人脈を武器に、果敢に次の一手を打っていく。そんな前のめりに挑戦を続ける姿勢と人を怖がらず積極的に関わっていく姿勢が、この会社で求められる価値観だと感じています。
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