何が起きても
製品の生産を止めない。
コロナ禍を経て痛感した調達部門の実力
高島 綾
購買部SCM(サプライチェーンマネジメント)
管理課
2022年新卒入社
パナソニックオートモーティブシステムズは、社員一人ひとりの成長と自律的なキャリア形成を支援するため、さまざまな人事制度や研修プログラムを整えています。加えて、各部門でも担当事業や専門性に沿った独自のキャリア支援を行っています。
今回は、2022年新卒入社 高島綾さんへのインタビューしました。調達センターの購買部SCM(サプライチェーンマネジメント)管理課に新卒入社。有事の際にも製品の供給を継続するための対応に取り組んでいます。入社2年目の彼女は、ここまで、どのように取引先との信頼関係を築いてきたのか。入社から現在までを振り返ります。
日頃の地道な取り組みが、有事の対応スピードを左右する
2022年の初配属以来、調達センターの購買部SCM管理課に所属し、BCP(事業継続計画)監査とサプライチェーンの管理を担当。部品の供給リスクが発生した際の対応や、供給を止めることなく製品の生産を継続するための準備を担っています。
「自然災害や工場の火災、企業の倒産といった問題が発生した際、まずは影響する地域やサプライヤー(仕入れ先)の絞り込みを行います。当該地域にサプライヤーがあるかどうかを、当社の管理システムで確認する作業ですね。サプライヤーの絞り込みが終わり次第、納入に影響が出そうな部品を特定する作業に移ります。
それと並行して、どの製品の生産に影響があるかを調査。その一連の調査結果を、事業部や営業、国内外の製造工場などの責任者に全体会議を通して報告します」
主に有事発生時の初動対応の際に、迅速かつ正確に対応するために、サプライチェーン管理システムに登録された情報の精度と鮮度を確認する作業も欠かせません。
「平時よりサプライヤーの工場を訪問して、BCPについてのヒアリングを行いながら、実際に製造の様子などを見学しています。有事が発生した際の対策を確認し、サプライヤーにBCP活動についての理解を深めてもらう取り組みも業務のひとつです」
現在、BCP活動の部門に所属しているのは7人。問題が起こればチームが一丸となり、日本に限らず世界各地にあるサプライヤーへの調査を実施します。
「現在の部署は、7人中4人が女性。職場では私が一番若手となりますが、性別や年齢の違いを気にせずに自分の意見を話しやすい環境です。部署として大事にしているのは、何が起ころうとも部品の供給を途切れさせないこと。そこにプライドを持って全員で仕事をしていますね。どのような状況下でも製品の生産を続けられるようにすることで、初めてお客さまとの信頼関係が成り立つと考えています」
オーケストラでの活動を通して実感。人と関わりながら仕事をする喜び
学生時代は農学生命科学研究科に所属し、微生物機能について研究していた高島。なぜ研究内容とは異なる業界への就職を決めたのでしょうか。
「大学院では、微生物を使った環境浄化をめざして研究に取り組んできました。以前から生命の仕組みに興味があり、特に食に関わる微生物に魅力を感じたことがきっかけです。就職活動では、大学院での研究を活かしてバイオ系のメーカーを志望していましたが、研究室での実験ばかりの日々に息苦しさを感じてしまい、もっと人と直接的に関われる仕事に就きたいと考えるように。
また、技術を極める方たちの仕事を間近で見たい、支援したいという思いもあり、調達部署を志望しました」
学生時代、オーケストラ部に所属しており、そこでの活動を通して人と関わることの楽しさを実感。これは就職先を選ぶ際にも重視したポイントのひとつだと言います。
「オーケストラは100人ほどの人数でひとつの音楽をつくりあげます。そのチームワークに楽しさを見出していました。部活では、年に2回ある演奏会のチケット販売を担当。2,000人規模のホールで開催されるので、完売を目指して広報メンバーと一緒に頑張ったことは貴重な思い出。チームでひとつの目標に向かって取り組み、達成することのすばらしさを身に染みて感じましたね。
現在も、学生時代の部員から誘ってもらった社会人のオーケストラ団体に所属しています。私は身近な人を通して人とのつながりを広げること、そして人と会話することが好きなんです。調達の部署では社内だけでなく社外の方とも関わる機会があるので、これからも人との関わりは大切にしていきたいです」
就職活動の際には、パナソニック オートモーティブシステムズの会社説明会に参加。さまざまな人と関わりながら、世の中の幸せに貢献できる調達の仕事に魅力を感じたと言います。
「社員の方たちの雰囲気の良さにまず惹かれました。OB訪問で実際にお話した際、仕事の熱量やコミュニケーションの仕方が素敵な方が多かったのが印象的です。コミュニケーションの受信と発信の上手さに感動したのを覚えていますね」
コロナ禍を経て得られた貴重な経験も。日々の積み重ねが自信へとつながった
2022年に入社し、コロナ禍におけるハイリスクな有事に対応してきた先輩たちから多くの学びを得られたことは貴重な経験になりました。
「新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウン時には、多くの部品の供給が止まっただけではなく、半導体自体の供給がひっ迫しました。しかし、お客さまへの納入を途切れさせなかったことは当社の実績だと感じています。このような実績をあげられたのは、平時に準備を怠らなかったからこそ。平時から精度向上と鮮度管理を行っていたサプライチェーン情報を使い、影響を素早く特定できたことで、納入を途切らせることなく生産を継続できました。
また、コロナ禍を経て、あらゆる部品の知識やリスクを一から学ぶことができ、自分自身の成長も実感しました。実際にコロナ禍で有事対応をされていた先輩方から、事細かなフィードバックをもらえたことは貴重な経験でした」
コロナ禍という特殊な状況下でさまざまな経験をしてきましたが、どのようなところに仕事のやりがいを感じているのでしょうか。
「日々の業務の積み重ねが将来的にビジネスへとつながる可能性を秘めているところにモチベーションを感じています。入社当時は自分の創造力に自信がなく、不安を感じることも多々ありました。しかし、いつもスピーディーな対応や期限厳守を心がけていることを評価してもらい、自分も会社に貢献できているのだと感じることができました。
もちろん、有事の際にはたいへんなことばかりです。しかし、そのなかで社内外のさまざまな人たちに協力いただくために直接話す機会が増え、自分の視野が広がっていくのを感じています。入社1年目に研修で学んだ部品の基礎知識も、現在の仕事をする上で大きく役立っています。地道な努力や勉強が結果につながった時には達成感を味わうことができます」
入社2年目にして、社内のみならずさまざまなサプライヤーとの信頼関係を築いてきた高島。いつも社内外の人との接し方に注意を払うように心がけています。
「人との信頼関係が何より重要な仕事なので、協調性を持って取り組むようにしています。例えば、こちらの利益だけを優先するのではなく、サプライヤー様が何を求めているのか、意向をきちんと把握したうえでこちらの意図をわかりやすくお伝えすること。
また、お客様からの期限つきの調査依頼も多くあるため、その場合は、臨機応変にスピーディーな対応をとることが、後の信頼関係を築くために重要だと思っています」
調達としてお客さまからの信頼を得るために、交渉力を身につけたい。
人との関わりを大切に購買業務へ注力してきました。これからは調達のなかでも、よりサプライヤーと密接に関わる業務に携わることが目標です。
「当面の目標は、取引先との契約業務に関わることです。契約部門は、部品を探し出して製品への使用を決めるのが最大のミッション。品質や価格、納期に関する要望について直接やり取りができ、サプライヤーとより密接に関わることができます。対話力や交渉力が必要な部門であるため、これから自分に必要な力を伸ばしたいという思いもあります。
また、購買の業務について理解を深めるのはもちろん、グローバルにものづくりをしている会社なので、海外の業務とも関わりながら経験を重ねていきたいです。そうした経験を積むことで、調達部門全体を見ながら、一段レベルの高い提案ができるようになりたいですね」
目標へと近づくために、高島には仕事をする上でロールモデルにしている先輩がいます。
「現在の部署の課長は、海外に駐在されていたこともあって業務経験の幅が広く、周りを巻き込みリードしながら数多くの業務にスピード感を持って的確に対応される方です。部署の内外を問わず多くの方から信頼されていて、どんなに忙しい時でも相談に乗ってくれる姿は、私にとってまさに理想の将来像ですね」
高島は自身について、相手に厳しくものごとを伝えることが得意ではない性格だと語ります。しかし、契約する部品の選出やコストダウンの交渉をする際には、シビアに話し合う力も必要となります。
「交渉時には、単に相手を説き伏せるのではなく、きちんと納得してもらえるようにロジックを立てて説明しなくてはなりません。それが自分にとっての課題ですね。それをクリアするためには、調達職としての知識を身につけることが大前提となります。引き続き業務に打ち込み、経験に裏付けされた確かな交渉力を発揮したいと思います」
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