Our Impact
多様性は方向性や解決策を見出す糸口
山下さん 開発本部
眠気検知のアルゴリズム開発に携わる山下さんは、自身の研究成果が商品化につながる日を見据え、ときに悩んだり、もがいたりしながらも、毎日の仕事を丁寧に積み上げています。与えられた環境の中で最大の成果を出すためにコツコツと努力を重ねる山下さんの強みは、ネガティブをポジティブに変換し、ゆっくりでも着実かつ正確に「やりたいこと」に近づいていく芯の強さ。さらに、“自分さえ良ければ”ではなく、社員一人ひとりが適切なタイミングで適切に能力を発揮するための制度や職場環境のあり方にも目を向けています。
数学科出身の強みを活かしてものづくりを支える研究職へ
—— もともと就職先にパナソニックを選ばれた理由は何ですか?
学生時代は数学科で微分積分の近似計算で発生する誤差を求める式を作っていました。そのときに所属していた研究室の教授が医療メーカーの心臓カテーテルの共同研究に携わっておられて、数学がメーカーの仕事に活かされている場面を目の当たりにしたのです。中学生の頃から一貫して、人の命に係わる仕事がしたいという思いが根底にあったこともあり、パナソニックならひょっとしたら自分のやりたいことができるかもしれない、出身地である大阪からグローバルに働けるかもしれないという期待がありました。数学科出身なので、開発の仕事ではなく研究職でものづくりを支えられたらと考えていました。
—— 現在はどのようなお仕事をされていますか?
カメラで撮影した画像から取得した顔情報を用いて、ドライバーの眠気を推定するアルゴリズムの開発です。社会的意義のある車載システムに携わっているという意味において、非常にやりがいがあります。ひたすら数値とプログラムのコード、グラフと向き合う日々ですが、居眠り運転や高齢者のブレーキの踏み間違い、健康状態に起因する事故などのニュースに触れるたび、自分が携わっている仕事の重要性を痛感します。眠気について学びを深めるために、公的な資格ではありませんが「眠気評定士」という資格にもチャレンジしました。人の表情から眠気レベルを評定するという難しい資格で、非常に苦労しましたね。
チャレンジが推奨される環境で働ける幸せ
—— 山下さんにとって「仕事」とは何ですか?
仕事とは『自分の視野を広げてくれるもの』であり、さらには『人生の充実度を高めてくれるもの』でありたいと思います。仕事でまだまだ苦労する場面が多く、その域には達していません。たとえば10年20年経ったときに、あの苦労した経験も良かったなと思えるようにしたいですね。入社以来、複数回の異動を重ねてきたので、会社にとって本当に必要な人間なのだろうかと不安になったり、この仕事に向いていないのではないかと悩んだりしたことも数えきれません。 でも、そこで諦めてしまったら終わりです。やりたいことを全部やってみて、商品化を実現するなり、なんらかの成果を出して、惜しまれるような人になってから決意しても遅くないと考え直して今に至ります。そのためにはどうすべきなのか、いつでも相談できる上司の存在は大変心強いです。
—— 女性が少ない職場ですが、働きにくいと感じたことはありませんか?
今の職場は、女性だからという理由で働きにくいと感じることはありません。性別を評価軸にせずに、一人ひとりの能力を見極めた上で仕事を割り振ってくださる上司に感謝しています。さまざまなチャレンジが推奨される環境で働けているのは幸せです。私が入社した当初と比べると、会社としてもさまざまな制度改革が進み、性別に関係なく『やりたい』という意思を尊重する環境が整いつつあるように思います。また、入社2年目ぐらいに体力面での限界を感じたことがあったのですが、今は働く時間や場所において柔軟な働き方ができるようになっています。おそらく働きにくいからという理由で会社を辞めることはないでしょうね。
—— 多様な働き方を受け入れ、働いた時間ではなくアウトプットの質で評価しようという流れにあるのですね。
働き方に限らず、多様性を大切にするカルチャーは、経営層が自ら発信することで少しずつ培われているように思います。多様性は新しい方向性や解決策を見出す糸口になります。性別に関係なく若いうちからリーダー経験を積ませ、自然に『昇進』という選択肢が出てくるような仕事の割り振り方を意識していくことも重要ではないかと考えます。
働きやすい職場づくりへの取り組みにも関心
—— 今の仕事とは別に、他にもやってみたいお仕事があるそうですが…。
人材育成、組織開発の仕事です。入社後に複数回の異動があったり、学生時代の専門とは異なる配属や仕事で苦労したり、プライベートでは大きな病気をしたり、それらの経験を活かして後進がより一層働きやすい組織を作ることや、より飛躍できるような環境を作るお手伝いがしたいと考えています。まだ役職がついているわけではないので、一人ひとりが置かれている状況に応じた提案まではできませんが、職場全体を見渡して組織として足りないなと思うことに対し、上司に具体的な取り組みを提案したりもしています。
—— 誰かが変えてくれるのを待つのではなく、組織のためにできることを考えて行動する姿勢はすばらしいですね。山下さんご自身は、これから先どう変わっていきたいですか?
データ分析技術を取り扱える人材が少ないので、数学科出身であることを活かしてデータ分析技術を磨き、複数のプロジェクトや商品開発に携わってみたいです。
—— まずは「商品化」が一つの大きな目標になりそうですね。
はい。最終的に、人の命を救うような社会的意義のある商品を生み出せたら嬉しいです。最近はコロナ禍でメンタルを病む人が増えていますから、人の命に限らず、人の心をサポートするような商品も良いですね。中学生の頃からの思いはこれからも貫いていきたいと思います。