Innovation
ひと研究
パナソニックグループの「ひと」に関する知見を車載分野に活用、安心・安全な運転に貢献し、快適な車室空間を提供する
パナソニックグループは、ひと・くらしに寄り添ってきた知見を車載分野に活用し、貢献することが求められてきました。パナソニック オートモーティブシステムズがひとに関してどのような研究をし、どのように安心・安全な運転に貢献しようとしているのか、さらには、どのように車内(車室空間)を快適にしようとしているのか、一部をご紹介します。
ドライバーの「この先」の眠気を推定し、安全運転支援につなげる
ひとは必ず眠くなります。ひとが運転している限り、ドライバーも眠くならないとは言えません。ドライバーの現在の状態を検知し、この先眠気がどうなっていくかを推定する技術があれば、眠くなりすぎる前にドライバーに休憩を促したり、音や温度など車内環境に変化を与えて覚醒させたり、安全運転につなげることができます。
パナソニック オートモーティブシステムズでは、パナソニックグループにあった、表情やまばたき、放熱量から眠気を推定する技術をさらに進化させ、個人差による誤差を最小化した当社独自の眠気推定モデルを開発しています。
具体的には、カメラで撮影したドライバーの「瞬きの速度」や「頭の角度変化のバラつき」、「頭の上下位置の変化量」といった、ひとが眠気を感じる時の特徴量(パラメータ)を理解・抽出し、その時間変化を見ることで眠気を推定。強い眠気になる前に車内環境を変化させて、交通事故やヒヤリハットを未然に防ぐことを目指しています。
ひとは何を見て運転しているのか
ドライバーが何を見て運転しているのか。これがもっと科学的に解明できれば、交通事故がどんな時に起きやすいか、そしてどういうところを注意しないといけないか、分かります。
ひとが外界を認知する際、瞬間瞬間に目から入ってくる現在のイメージが寄与しているのはわずか2割で、残り8割は直前の過去の記憶から生成する予測イメージでもって、現在の外界を視覚イメージとして認識していることがわかっています。そして実際の外界と視覚イメージの差が大きい部分にひとの注意が引き寄せられます。
パナソニック オートモーティブシステムズでは、この事実を説明できる予測符号化理論に基づき、車を運転している時に、ひとがどの部分に注意が引き寄せられているかを検出できるモデルを開発しています。ドライブレコーダーが記録した前景映像をこのモデルで解析すると、運転中に実際にヒヤリハットが発生した際にドライバーがどこに意識が向いていたかが検出できます。本機能を当社は世界で初めて(※)実証しました。これを活かしたHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース=ドライバーへ運転に必要な情報を提供する装置)で、ドライバーの注意の偏りを無くし、安全な運転に誘導する機能を実現していきます。
- ドライバー視覚検出機能として。当社調べ。
今後もさらに人間の特性を理解し、安全運転支援を実現する技術開発に取り組んでいきます。
ひとの寒い・暖かいの感覚をモデル化し、一人ひとりを快適に
冬の車内は暖房がないと凍えてしまいそうになります。エンジンという大きな熱源があれば、一旦エンジンが暖まれば、その発熱を利用して暖房できます。しかし、エンジンがない電気自動車では、電気を使って暖房し続けなければいけません。すなわち、走行可能距離にも関わる、重要な問題です。すぐに、効率よく、効果的に暖房する必要があります。それを実現する手段の一つが、座席の内部に電熱線をめぐらせた「シートヒーター」です。
パナソニック オートモーティブシステムズのシートヒーターは、人の寒い・暖かいの感覚をモデル化し、車室空間全体を暖めるのではなく、人を直接・効率よく暖めることを実現しています。
シートヒーターを設計する際、車室空間の温度、シートの温度を解析して、人がどう感じるかをシミュレーションしています。人の温冷感モデルを開発し、車室空間全体を暖める暖房から、車室全体の暖房を弱めながら、シートヒーターや輻射ヒーターを活用することで人が暖かいと感じることができる車室内空調を実現、暖房の電力消費を最小化しています。
「温冷感モデル」はひとの皮膚温度と体温調節や心理反応の関係をモデル化しています。この「温冷感モデル」を車室空間モデルと組み合わせ暖房快適性のシミュレーションを行います。その際、シートヒーターの仕様と、人が座った状態のシート内部の温度分布をモデル化し、ひとをどのように温めたら良いかもシミュレーションで検討しています。
これからもひとに寄り添ったパナソニックだからこそ、様々な体格や感じ方など、一人ひとりが快適に感じることのできる暖房を、省エネルギーで実現していきます。
パナソニックの技術で移動時間をさらに快適、安心・安全に
パナソニック オートモーティブシステムズでは、今後もパナソニックグループのひと・くらしに寄り添った技術を活用し、ひとのモデル化などの技術開発を通じて、より快適に過ごせる車室空間の実現と、安心・安全な運転に貢献してまいります。