
Innovation
SDV:「ソフトウェアファースト」な開発を実現するパナソニック オートモーティブシステムズの挑戦
SDVとは
SDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェアによって定義されるクルマ)は、今後のクルマの進化を支える重要な考え方です。これまで、クルマの機能を変えるにはハードウェアの変更が必要でしたが、SDVではスマートフォンのようにソフトウェアのアップデートにより新しい機能の追加や使い勝手の改善ができます。
すでに一部の車両では、納車後の新機能追加や、クラウド経由でソフトウェア更新がされるなど、SDV化が進んでいます。今後は、乗る人に合わせて車内の設定が自動で切り替える、道路状況に応じて安全機能がリアルタイムでアップデートされるなど、クルマの使い方そのものが大きく変わっていくと期待されています。
私たちパナソニック オートモーティブシステムズは、保有する大規模ソフトウェア開発等の技術と経験を元に、新たな仮想化技術とその標準化で業界をリードすることにより、SDVの進化を支えています。
SDVにおける当社の強み~「ソフトウェアファースト」な開発~
当社は、クルマの中の「頭脳」とも言えるソフトウェアの開発に長年取り組んできました。
特に、カーナビゲーションシステムや音楽・映像などを扱う「IVI(In-Vehicle Infotainment:車載情報通信)」の分野では、世界でもトップクラスのシェアを誇っています。
当社が目指す「ソフトウェアファースト」な開発とは、ソフトウェアを先に開発し、そのソフトウェアに最適なハードウェアを開発していく開発スタイルです。これにより、開発スピードが格段に上がり、より早く、より柔軟に新しい価値を届けられるようになります。
当社の取り組み
1)仮想化インターフェース「VirtIO」の活用
当社は、実機が無くてもソフトウェア開発を進められるよう、仮想化技術の開発と応用に取り組んでいます。
その中核を担うのが、仮想化インターフェース「VirtIO(バート アイオー)」の車載ソフトウェア向け拡張です。これは、異なるハードウェアやクラウド環境においても、同一のソフトウェアが安定して動作するための共通基盤を提供するものです。
当社は車載適用した「VirtIO」をオープンソースとして公開し、業界全体での利活用と標準化の推進に貢献しています。
2)クラウドネイティブ開発
クラウド上に開発環境を構築し、世界中の開発チームが同じ環境でソフトウェアを開発・テストできるようにしています。当社はクラウドサービス環境を提供するAWS(Amazon Web Service)*注と連携し、「vSkipGen™(バーチャル スキップ ジェン)」という仮想開発環境を提供しています。
この環境では、前述のVirtIOに対応した車載ハードウェアへ、クラウド上で開発したソフトウェアをそのまま実装することが可能です。実機がなくても開発を開始できるため、開発スピードが大きく向上します。
参照: AWS Marketplace: vSkipGen - Panasonic Automotive Systems, LLC
3)「仮想化ディスプレイシステム(Unified HMI)」
車内に複数あるディスプレイを1つの仮想ディスプレイとして統合的に制御する技術です。これにより表示レイアウトや機能の検討・変更が柔軟に行えるようになり、UX(ユーザー体験)の設計・改善を短期間で繰り返すことが可能となります。当社は、この「Unified HMI」もオープンソース化しています。
ディスプレイのサイズや配置の違いに柔軟に対応できることで、UX開発のスピードを大きく高めます。
4)グローバルでの業界標準化とエコシステムづくり
当社は、オープンソースの活用にとどまらず、業界団体や他企業との連携を通じて、グローバルで技術の標準化や健全な開発環境(エコシステム)の構築に貢献しています。
業界活動を通じて、SDV時代に求められる共通基盤の進化をリードしています。
【業界団体サイト】
・Linux Foundation Gold Members
・AUTOMOTIVE GRADE LINUX Platinum Members
・Automotive Grade Linux Steering Committee
当社は、SDVの時代に向けて「ソフトウェアファースト」の開発を推進し、クルマの未来を切り拓いています。
私たちの技術は、より安全で快適なモビリティ社会の実現に貢献します。
- *注:Amazon Web Services および AWS は、米国およびその他の国における Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です。