AIとDXで変革を導く
──パナソニック オートモーティブシステムズで紡ぐ学びと技術
浦添 和哉
開発本部 統合制御システム開発センター
AI
2020年新卒入社
パナソニックオートモーティブシステムズは、社員一人ひとりの成長と自律的なキャリア形成を支援するため、さまざまな人事制度や研修プログラムを整えています。加えて、各部門でも担当事業や専門性に沿った独自のキャリア支援を行っています。
今回は、2020年新卒入社 浦添和哉さんへのインタビューしました。現在は、安全検知AIや画像認識AIを活用した、工場の安全を守るシステム開発に従事しています。業務に携わるかたわら、入社翌年から大学院に通い、博士号の取得も果たしました。幅広い知識と経験を強みに活躍してきた歩みを振り返りながら、ビジョンを力強く語ります。
「ADAS」で培った技術を活かして、工場の安全に寄与するシステムを開発
浦添が籍を置くのは、開発本部 統合制御システム開発センターのアルゴリズム開発部(現 AIソリューション開発部)。現在は、安全監視用AIソリューションの開発に取り組んでいます。
「製造業においては、品質や生産性の向上、歩留まりの改善などが求められますが、もっとも優先して確保されるべきは現場の安全です。休業や不休災害の発生後には対策が実施され、新たなルールも設けられますが、作業するのは人間。同様の災害が再発するケースは少なくありません。
そこで、ソリューションを用いて作業を常に監視することで不安全行動を抑止し、災害のない安全な職場づくりの実現をめざしています」
入社後に携わった「ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems/先進運転安全支援システム)」の開発で培った技術を活かしつつ、工場向け監視自動化の機能開発やシステム開発に取り組んでいます。中でも、現在着手しているのが「保護メガネ」の自動監視です。
「私が保護メガネに注目したのは、着脱頻度が多く、人による監視が難しいという理由からでした。工場の作業を止めないためには、誤警報を減らす必要がありますが、ADASで培った技術を応用することでそれが実現できます。
また、ADASの開発過程で構築した開発のツールチェーンを活用すれば、工場に低コストで導入することも可能です」
とはいえ、誤警報がなく、同時に高い信頼度を保てるシステムの構築は容易ではありません。工場に何度も足を運んで現場の状況を確認しながら、開発やPoCに地道に取り組んできました。
「私の好きな言葉に、『機先を制する』があります。スピードを重視してシステムを工場に導入し、検証を行い、受け取ったフィードバックをもとに改善するサイクルを回しています。以前、先行開発に取り組んでいた時は、開発に2~3年を要していたので、非常に新鮮な体験です」
プロジェクト中盤からプロジェクトマネージャーを務めることに。未経験の役職での挑戦は毎日が試行錯誤の連続ですが、着実に視野を広げながら成長を遂げてきました。
「これまでは技術面に集中してきましたが、プロジェクトマネージャーになってからは、さまざまなステークホルダーとコミュニケーションする立場になりました。工場の方に対してソリューションの価値を伝え、提案しなければいけませんし、いま着手すべきことを見極めてプロジェクトを成功に導くのも私の役割です。
困難に直面することもありますが、上司と気軽に話せる環境があるため、問題が生じればすぐに相談し、アドバイスやフィードバックを得ています」
「二足の草鞋」がもたらした相乗効果。働きながら学ぶ過程で得た多角的な洞察
学生時代から画像処理やAIの研究に取り組んできた浦添がこの分野に興味を持ったきっかけは、ある人物との出会いと、自身の“効率主義な性格”にあったと話します。
「中学か高校のころにスティーブ・ジョブズの伝記を読んで、難しい課題も技術の力で解決できることに衝撃を受け、技術者を志すようになりました。また、自動化に関心を持ったのは、私自身が効率主義な性格だからです。カメラを用いたセンシングであらゆることを自動化できれば、より便利な世界が実現するだろうと考えていました」
大学院の修士課程を卒業後、就職する道を選び、画像処理やAIの研究・設計開発に携われる環境を探しました。
その中でパナソニック オートモーティブシステムズと出会い、修士1年時にインターンシップに参加しました。
「技術力の高さを目の当たりにして、『この場所でなら成長できる』と直感しました。また、丁寧に指導してくれた先輩社員たちの人柄にも強く惹かれたのを覚えています。家電領域で培った技術を活かして、BtoB領域に参入しようとする当時の社内の機運にも魅力を感じました」
2020年に新卒入社しましたが、研究への意欲を諦めきれず、博士課程に通うことを決意。入社2年目から、会社員と大学生の「二足の草鞋」を履く生活を送りました。
「私の意志を上司は快く受け入れ、挑戦を温かく見守ってくれました。研究のための時間を確保することが最大の課題でしたが、コロナ禍のおかげで在宅での作業が可能に。通勤や通学を減らすことで、仕事と学業の両立が実現できました」
いずれか一方に専念するのではなく、仕事と学業を並行して進めることで得られた学びや視点も多くあったと言います。
「修士課程を終えて就職する道を選んだのは、画像処理の自動化など、自分が開発した技術を通じて課題解決に貢献したかったからです。
大学でできることは限られているため、より大きな社会的影響力を持つ企業でビジネスセンスを磨きたいと考えていました。二足の草鞋を履く生活で気づいたのは、仕事と学業は相互に影響し合うということです。博士課程で学ぶことで、アカデミックな視点からの技術理解を深めることができました。
一方、会社で働く以上は、『何のために開発するのか』が問われます。博士論文に取り組む過程でも、常にその課題と向き合い続けることができました」
先行開発から、現場の課題解決に直結する開発まで。入社からの5年間で幅広く経験
アカデミアとビジネスの両方の分野で経験を深め、2022年4月〜翌年3月まで担当したDeep Learningを活用した領域検出技術のプロジェクトでは、独自のキャリアバックグラウンドを活かした貢献を実感する機会がありました。
「『ADAS向けに開発する』という明確なビジネス目標がある一方で、『AIの本質とは何か』について考察を深める必要のあるプロジェクトでした。
ビジネス面の課題は、経験豊富な先輩社員の支援を得て解決できましたが、アカデミックな課題を解決する上では、研究室で学んだ論文調査の技術や技術開発へのアプローチ方法が大いに役立ったと感じます」
その後、知識を共有する文化を育む目的で、課内での勉強会も主催してきました。
「学会で得た知見や読書を通じて学んだ内容を報告することが勉強会の主な内容です。とくに重視しているのが、習得した知識を実務に応用し、その成果を共有すること。AIやアルゴリズム開発においては、理論だけではなく、実践的な経験や技術の共有がきわめて重要だと考えているからです」
一方、これまで積極的に挑戦を重ねてきました。ユニークなキャリアを歩んできた立場から、パナソニック オートモーティブシステムズの成長環境を次のように評価します。
「入社2年目に欧州の開発拠点のチームと協働する機会があり、異なる文化や商慣習を持つ相手に効果的に伝えるスキルを身につけました。そして現在、工場向けのソリューション開発を通じて、AIの知識がない現場のメンバーにも理解してもらうためのコミュニケーション方法を学んでいます。
AI領域では、先行開発や要素技術の開発から、現場で役立つソリューションの開発に至るまで、入社してからわずか5年のあいだに幅広い経験を積むことができました。非常に恵まれた環境にいると感じています」
最先端の技術を用いて、国内外で社会に貢献ができる技術者に
充実したキャリアを歩んできた背景には、上司が部下のキャリアプランを共に考える、パナソニック オートモーティブシステムズならではの風土があると言います。
「入社後、先行開発領域で経験を積む中、技術の具体的な応用先が見えず、『この技術が実を結ぶのは何年後だろう』と葛藤を感じることがありました。しかし、現場に近いところで開発に携わるようになってからは、手触り感が得られるようになっています。
これは、『幅広い経験を通じて成長してほしい』との願いから、上司が私のキャリア形成をサポートしてくれた結果だと思っています」
一方、工場に目を向ければ、外観検査や不良品削減の工程において、まだまだ課題は山積みです。
今後さらに領域を広げながら、AIを活用した工場DXに貢献したいと語ります。浦添には、3つの大きな目標があります。
「第一に、独自の差別化技術を生み出せる高度な技術力を持つエンジニアになること。
第二に、プロジェクトを正しい方向に導き、成果を上げるプロジェクトマネジメントのスキルを磨くこと。
そして第三に、グローバルな事業展開をリードする能力を身につけることです。AIや画像処理は開発競争が激しい分野ですが、最先端の技術を駆使し、国内外で社会に貢献できる技術者になることをめざしています」
専門性と技術力の高さ、物怖じしない性格、スポーツを通じて「心技体」を磨いてきたからこその粘り強さが強みだと語ります。新しく迎え入れる仲間に求めるのは、「学び続ける」姿勢です。
「当社では、Deep Learningに関する知識や技術を深めるため、AIエンジニアを対象とした『E資格』の取得が推奨されています。私もこれを取得しましたが、最先端技術の適用に挑戦する一方で、資格の勉強を通じて基礎を再確認することの価値をあらためて認識しました。
技術のトレンドが絶えず変わる中で、変化を楽しむ気持ちで新しいことを学び続けることができる方と一緒に働くことができたらうれしいです」
学んだことや経験したことは、いつか必ず自分の強みとなる。そう信じて、これからも挑戦を繰り返しながら、唯一無二の技術者へと通ずる道を歩み続けます。
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