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事例紹介インタビュー

ベテランではなくチャレンジャーとして。育児との両立で描くエンジニアのキャリアパス

福井 由紀子

インフォテインメント事業部
ソフトウェア設計
2016年社内公募制度にて転籍

キャリアチェンジ社内公募制度人事制度子育てワークライフバランスDiversity, Equity & Inclusion技術系ソフトウェア設計

パナソニックオートモーティブシステムズは、社員一人ひとりの成長と自律的なキャリア形成を支援するため、さまざまな人事制度や研修プログラムを整えています。加えて、各部門でも担当事業や専門性に沿った独自のキャリア支援を行っています。

今回は、2016年社内公募制度にて転籍 福井由紀子さんへのインタビューしました。パナソニックグループで長年働く福井 由紀子は、ソフトウェア設計を軸にキャリアを築いてきました。現在はパナソニック オートモーティブシステムズ(以下、PAS)に在籍し、車載製品の開発で要件管理を担っています。技術者としての仕事のやりがいや、職場環境、そして育児と仕事の両立について語ります。

車載CDC開発の要件管理を担当。社内外の調整に力を尽くす

──まず、今の仕事内容を教えてください。

インフォテインメント事業部 プロダクトマネジメント部 開発3課で主任技師を務めています。現在、ある自動車メーカーのIVI(In-Vehicle Infotainment:車載通信情報システム)やメーター、HUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)の機能を合わせたCDC(コックピット・ドメイン・コントローラー)の開発で、SEとして要件管理を担当しています。

具体的には、IVIの画面を設計するにあたり、開発から評価までの手順やルールを新しく策定して、お客様や社内の各機能担当者らに展開しています。また、社内の要件管理担当として、CDCで50機能以上の画面仕様・遷移仕様について計画を立案し、進捗管理や課題解決を進めています。

たとえば、先日はこんな課題が見つかりました。IVIでは多くの言語を扱うのですが、画面上で表示される際、言語によって文字のスペースが異なり、そのエリアに収まらないケースが出てきたんです。そこで、どう対処すべきかを考えてお客様に提案した上で、方針を固め、設計担当者に展開しました。

──多くの調整が求められる中、苦労することは何ですか?

関わる人が多く、各方面との調整を進めるのが大変ですね。お客様側のデザイン担当者や各機能担当者と連携する一方、社内や開発会社に向けては100人ほどに向けて説明会を開き「こういうルールや日程感でやることになったので、こんなスケジュールで動いてください」と周知します。さらに個別の質問があれば、都度対応していきます。

──煩雑な作業をスムーズに進めるために、心がけていることはありますか?

一人ひとりの話にしっかりと耳を傾けた上で、レスポンスを早くすることです。多くの人が携わるプロジェクトの場合は、統一的なルールを明示するなど極力「見える化」することも大切ですね。それぞれがスケジュール感や必要なタスクを把握できるようにし、プロジェクトの円滑な進行をめざしています。

そして、お客様と開発者の間では、やりたいことや希望のスケジュールが食い違うことも多いので、適切な落としどころを見いだすよう努めています。お客様の「譲れないポイント」を理解し、開発者の制約も考慮しながらの作業になります。

手がけた製品が多くの人に使われる様子を見たい。社内公募異動制度でPASへ

──これまでの仕事で、チャレンジングだった出来事を教えてください。

PASで働く以前は、ずっとソフトウェア設計に携わっていました。ネットワーク系で過去にない通信ルールを盛り込んで開発し、新たな装置を作るような機会が多くて、私にとっては毎回が挑戦でしたね。

とくに印象に残っているのは、パナソニック システムソリューションズ ジャパン(現・パナソニック コネクト)に在籍していた2012年、災害対策用無線装置をNTTの研究所と共に商品化したことです。その前年に発生した東日本大震災を踏まえ、通信インフラが途切れた際に通話やインターネット接続機能提供が可能な装置を開発することになりました。さまざまな課題に直面しつつも、チームの結束力や雰囲気のよさで乗り越えられてうれしかったですね。

このような新しい開発を数年おきに担当させてもらえました。「これ、やりたいです」と言えば基本的に上司らが後押ししてくれるので、職場環境にも恵まれてきたと実感しています。

──失敗から何かを学んだ経験はありますか?

自分が作ったり指示したりした製品について、市場回収にまで至ったことはありませんが、あまりよくない仕組みのまま世に出てしまい、後になってもっといい仕組みに気づいたということはあります。製品が市場に出るまでにテストや仕様書レビューがあるのですが、その過程でコミュニケーション不足などの要因が複合的に重なると、問題が起きると痛感しました。

このような経験から、レビュー者が理解しやすいように作業を明文化するなど、改善策を練って再発防止に努めています。

──PASに転籍したのはなぜですか?

eチャレンジ制度(社内公募異動制度)を使って、2016年に転籍しました。それまでネットワーク機器、インフラ系の開発に携わり、自分の開発したものが多くの人たちに使われている様子を見る機会がありませんでした。そんな折、関わっていた開発が区切りを迎え、たまたまPASの募集を目にしたんです。

PASなら、何万人もの方々が使う製品を開発し「私、これを手がけたんだよ」と周囲にも言えるのではないかと思って応募しました。

ドラレコ開発に携わり、届いた感謝の手紙。ユーザー視点の徹底を誓う

──成功体験や、励みになったようなエピソードを教えてください。

PASに転籍後、損保会社向けのドライブレコーダーを担当したことがあります。事故の衝撃を検知し、オペレーターに自動的につなぐ機能の仕様を任されました。損保会社とは「衝突を検知した場合、ドライバーがさらなる事故を起こさないようにクルマの速度が落ち着いてから話しかけ、オペレーターにつなぐ仕組みにしよう」などの話し合い仕様協議を重ね、製品化にこぎつけました。

するとある日、製品を使ったドライバーの方から当社に感謝のお手紙が届いたんです。「事故を起こして気が動転している中、自動的にオペレーターにつながり、警察にも伝わって安心して対処できた」と。実際に役立っているとわかり、とてもうれしかったですね。仕事に追われるとタスクをこなすだけになりがちですが、ユーザーにとって本当に有効なのか、どんな価値や体験を提供できるのかという視点を忘れてはならないと肝に銘じました。

──PASならではの仕事のやりがいは。

自分の見える範囲にエンドユーザーがいることに、働きがいを感じますね。クルマの展示場に行けば、手がけたカーナビゲーションが使われている様子を目にしますし、ユーザーの反応が直に伝わります。

また、当社はクルマ好きの社員が多い一方、私のようにあまり運転せず、助手席メインのような人の考えが重宝される場面もあります。多様な視点が必要とされることも、この仕事の魅力ではないでしょうか。

──職場の雰囲気や、ワークライフバランスについても聞かせてください。

従業員同士がお互いにコミュニケーションをとりやすい環境です。手を挙げればやりたいことをさせてもらえるなど、チャレンジや改善を歓迎する雰囲気もかなり根づいていますね。育児で言えば、私は2度の産前産後休業と育児休業を取得したほか、第1子の時は3歳まで、第2子では1歳まで、それぞれ短時間勤務制度を利用しました。個々の事情に応じた働き方ができ、部署としての理解も進んでいると思います。

最近では、在宅と出社のハイブリッド勤務が浸透しています。男性社員も女性社員も「午前は子どもの学校行事に参加し、午後は在宅勤務とします」「家族の通院に付き添うので中抜けします」などとチャットで連絡し合っていますね。私も、在宅勤務の日に家族の食事を何日分かまとめて作るなど、勤務時間を柔軟に調整しています。

プロジェクト全体を見渡して冷静に対応。強みを生かし、チームを支え続ける

──福井さん自身の強みや背景を教えてください。

特定の分野にのめり込むというよりも、プロジェクト全体を見渡して課題を見つけ、それに対処することが得意だと思っています。一歩引いた目線で全体的なスケジュールを考慮しながら、関係者たちの適切な妥協点を見つけて調整する。その持ち味を、今の仕事にも活かしています。

私は短大の国文科出身です。新卒で松下通信工業に入社したころは、まだ大学に情報処理学科などの専門学科が少なく、理工学部や機械関係、国文などさまざまな背景の人たちがやってきて「プログラミングって何?」という状態でした。

重要なのは、論理的な思考ができるかどうかではないでしょうか。プログラミングも基本的には言語なので。そして、ベースとなる知識は入社後、さまざまな研修や実地で身につけていく形です。

──今後、挑戦したいことは何ですか?

今の業務をもっと広い視野で見渡しながら、さらに発展させていければと考えています。急速に進化する製品に合わせ、開発や要件のプロセス定義を改善していきたいですね。

具体的には、これまでなら製品の仕様書をWordやExcelで書いた後にプログラミングに進んでいましたが、それ自体をデータ化し、そのままテストや実装に活かせるよう改善している最中です。新しい考え方を取り入れたり、開発側に合わせて仕組みを生み出したりしていかないと、世の中の流れから取り残されてしまうと考えているので、日々改善していく姿勢を大切にしています。

──社内でどんな存在になっていきたいとイメージしていますか?

これまでさまざまな経験を積み重ねているので、予期せぬ事態にも慌てず、順序立てて対処していくことには慣れているかもしれません。他方で、一つひとつの開発は新しいことずくめです。機能がどんどん新しくなるなど状況が変化する中、毎回創意工夫を重ねています。そういう意味でベテランではなく、チャレンジャーとしてこれからもチームを支え続けたいと思っています。

キャリア形成のカギを握る
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キャリア形成のカギを握る支援プログラム

パナソニック オートモーティブシステムズのキャリア形成支援には、さまざまな形があります。人事がカリキュラムを整える研修プログラムや、個人が学習テーマを選択するオンライン研修、資格取得の支援、上司との1on1 Meetingやメンター制度などのコミュニケーションプログラム、社内公募制度(eチャレンジ)や社内副業、社外副業といった別フィールドでの飛躍。

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※所属・内容はインタビュー当時のものです。

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