小さな改善を積み重ね、ものづくりの現場を支える。生産技術を担う新卒若手社員の躍進
楠 葵衣
キャビンUXビジネスユニット 生産技術部
生産技術
2022年高専卒入社
パナソニックオートモーティブシステムズは、社員一人ひとりの成長と自律的なキャリア形成を支援するため、さまざまな人事制度や研修プログラムを整えています。加えて、各部門でも担当事業や専門性に沿った独自のキャリア支援を行っています。
今回は、2022年高専卒入社 楠葵衣さんへのインタビューしました。高専で機械工学を学び、2022年に新卒入社した楠 葵衣。製品生産効率の追求やDX推進、製造システムセキュリティの構築に携わっています。学生時代からものづくりに触れていた楠が、パナソニック オートモーティブシステムズ(以下、PAS)を選んだ理由や生産技術という仕事の醍醐味、今後の展望などを語ります。
問題を発見するAIシステム、サイバー攻撃を防ぐセキュリティの構築で生産現場に貢献
──まずは現在のお仕事について教えてください。
キャビンUXビジネスユニット 生産技術部で、主に敦賀製造拠点の製造力強化のためのツール作成や改善に取り組んでいます。また、製造システムセキュリティの構築にも携わっています。
──製造力強化の取り組みとは、具体的にどのような業務ですか?
生産ライン作業者の動きを分析する、アノテーションシステムの作成を主に担当しています。
生産ラインの天井や手元に設置されたカメラで作業者の動きをすべて記録し、AIを用いて移動動線を分析して、各作業にどれだけ時間がかかっているかなどを可視化します。そこで作業のムダを洗い出し、現場にわかりやすく伝えることで、問題の発見・改善を助けるツールです。このシステムを活用することで、生産性の向上に貢献できるんです。
私の役割は、そのシステムを各工程に合わせてさらに使いやすく改善すること。現場リーダーや工程担当者と相談しながら、見やすく使い勝手の良いツールになるよう心がけています。また、海外拠点にも展開中で、たとえばタイ拠点ではすでにアノテーションシステムを導入しており、現地メンバーにシステム構築についてのアドバイスも行っています。
──特定された問題は、どのように改善するか教えてください。
問題が見つかったら、同じチームの中で役割分担しながら改善を進めます。改善策を探るには、現場の人たちとのコミュニケーションも重要です。直面する問題について一番理解しているのは現場の皆さんですから。
そのため、日々現場に足を運ぶことを重視していますね。現場では各ラインで定例会議を実施しており、リーダーと設備担当者間で問題点を共有し、改善点の抽出を行っています。その中でアノテーションシステムを使って、日々発生したトラブルや作業の遅延を確認します。そこから問題点を発見し、改善案を検討・実行しています。
──もう一つのお仕事である製造システムセキュリティの構築についても教えてください。
サイバー攻撃への対策として、製造ラインや製品が攻撃を受けないようにセキュリティの壁を作ることが主な仕事です。具体的には、製造工場内で、外部からのネットワーク侵入が可能な通路を予測して遮断するネットワークの構築や管理などを行っています。
セキュリティシステムをどう構築すれば一番効果的かを考える、縁の下の力持ちのようなイメージですね。
──この業務はひとりで担当しているのですか?
セキュリティ構築はさまざまな部署と役割分担をして進めています。私の担当は工場内の生産ラインのネットワークがメインですが、さらに上位のネットワークとつなげる際はIT部署とも連携が必要など、幅広い部署との協力が欠かせません。定例会議で課題共有・検討を行うほか、セキュリティ強化の一環で、サイバー攻撃への対応訓練なども毎年実施しています。
また、私たちセキュリティ担当者だけでなく、トラブル発生時に実際に対応する現場の方々にもセキュリティ対策の重要性を理解してもらえるよう、普段から働きかけています。みんなで協力して取り組もうという姿勢で臨んでいますね。
──システムセキュリティ構築には専門的な知識が必要だと思いますが、習得のためにどのような自己研鑽をしているか教えてください。
高専では機械工学を専攻しており、慣れない分野への挑戦に、配属当初は戸惑いましたね。とにかく知識を増やして戦えるようになろうと、疑問に思ったことはなんでもたくさん聞くことを意識しています。それでもわからないことだらけなので、日々の勉強は欠かせません。
会社の制度にはUdemyという学習システムがあるので、それを活用して自己学習を始めました。社内で使われるセキュリティ関連の専門用語にも最初は苦労しましたが、慣れることで乗り越えつつあるところです。
高専で学んだ“ものづくり”の知識を自動車業界で活かしたいとPASへ入社
──楠さんは高専出身とのことですが、学んでいた専門分野と就職活動の軸を教えてください。
高専では機械工学を専攻していました。具体的には、機械の設計方法や、力学、流体、プログラム、機械操作などを学んでいましたね。
就職活動の軸は、車に関わる仕事でした。福井県は車社会で、普段から車を頻繁に使用しており、学生の頃から車室空間になじみがありました。その中で自分が関わった車が世に出て、日常生活で目見えるのは、やりがいにつながるんじゃないかと。私は結果が目に見える程やる気が出るタイプなので、日常的に成果を感じられるのは自分向きだなと考えていました。
それが、この業界を選んだ理由の一つです。その中で、パナソニックが県内で自動車関連の事業をしていることを知り、会社説明会などで魅力を感じたのがPAS入社のきっかけでした。
──高専で学んだことを、生産技術の仕事にどう活かせると考えましたか?
車載製品製造の生産技術の仕事に就くにあたり、機械工学の学びで得た、生産設備や部品についての知識はアドバンテージになると考えていましたね。学生時代から設備に触れる機会が多く、実習で実際にものを作っていたので、現場でものを作る人たちの苦労も身にしみてわかっていました。生産技術という立場で、現場の視点から物事を考えることができるのではと思ったんです。
この業界には予備知識がないと入りづらいと感じていたので、学生時代からものづくりに触れてきたことは今の業務に大きく活きていると思います。
──自動車業界の中でも、PASに入社した決め手は何でしたか?
元々、車の室内空間に興味があったことに加え、パナソニックという大企業のグループ会社なので、福利厚生の面でも働きやすそうだと思い、当社を選びました。実際に入社してみても、資格取得補助金やUdemyなどスキルアップの機会が充実していて、休日も多く福利厚生は整っていると感じますね。仕事とプライベートのメリハリがあって働きやすい環境です。
──学生向けに生産技術の仕事を説明していただけますか?
生産技術の役割は、実際に設計された商品を「もの」にすること。具体的には、車に搭載する部品や商品を製造する生産ラインを立ち上げ、さらなる生産効率向上をめざして改善を積み重ねていくことが仕事の中心になります。ものづくりの現場に非常に密接に関わる仕事だと言えますね。
自身の仕事が、会社の発展やお客様の評価につながる。その実感がやりがいに
──今までの経験で、とくに印象に残っているエピソードを教えてください。
1年目に参加した市場品質研修が非常に印象に残っています。パナソニックが運営する家電のサービスセンターのスタッフに同行し、お客様のもとで家電の修理を補佐するという研修でした。普段の業務はカーメーカーへの納入がメインで、エンドユーザーと直接関わる機会は少ないのですが、この研修ではお客様と直接コミュニケーションを取ることができたんです。時に厳しいご意見をいただくこともあれば、愛用していると伝えてくださるお客様もいらっしゃって……。
パナソニックというブランドの大きさと同時に、品質の重要性を強く感じましたね。普段の業務でもセキュリティ対策や品質改善に取り組んでいますが、それらがエンドユーザーの評価につながっているんだと、あらためて実感する機会となりました。
──研修に参加して、自身の仕事に何か影響はありましたか?
仕事のスタンスが大きく変わりましたね。普段、BtoBで社内業務に従事していると、どうしても視野が狭くなってしまうんです。時にはエンドユーザーや市場から意見を取り入れることが、視野を広げる上で非常に重要だと学びました。
──生産技術の仕事でやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?
現在、私が取り組んでいるDX推進の業務は、PASとして力を入れている事業の一端を担っています。大きなプロジェクトを成功に導く一助となれているところに、大きなやりがいを感じています。
とくにアノテーションシステムの作成は、敦賀工場では私に一任されていますので、その責任の重さがモチベーションにつながっていますね。
日々学び、試行錯誤する。現場の改善とともに自己成長できるのが生産技術の醍醐味
──今後のキャリアビジョンはありますか?
敦賀拠点に新たに導入予定のHUD(ヘッドアップディスプレイ)の生産ラインが大きな課題です。HUDは、車載メーターや道路標識などの情報を映像として目の前に投影するシステム。今後、新しいラインを4つほど立ち上げ、そのすべてにアノテーションシステムを導入する予定です。
そのため、私もラインについて勉強し、現場の課題を見つけてシステム作成に活かさなければと考えています。日々の勉強と試行錯誤を重ね、成長を形にできる社員になりたいですね。
──就職を考える学生や高専生に向けて、PASの魅力や働く環境について教えてください。
私が就職活動の時に重視していた福利厚生の充実度は、学生の皆さんにとっても魅力的だと思います。スキルアップのための機会が豊富に用意されている点は大きな強みです。
また、業務の中で若手の意見を求められる機会が多いのも特長の一つ。入社直後から自分の意見を提示でき、昔ながらの慣習にとらわれない風土があります。自ら頑張ればチャンスをつかめる会社だということが大きな魅力ですね。
──若手が活躍できる風土ということですが、同年代で、責任ある仕事を任されている人もいるのでしょうか?
私が担当しているセキュリティ構築の部分でも、若手が何名も同様の事業に携わっています。どの部署も重要なミッションを負っていて、責任のある仕事ばかりです。
同期の中にも、会社を盛り上げていこうと大々的なプロジェクトに参加している人がたくさんいます。会社を発展させたいという意欲があれば、スキルアップができる環境だと思います。
──最後に、この仕事に興味を持つ学生や新入社員にメッセージをお願いします。
生産技術という仕事はイメージしにくい職種かもしれません。しかし、実際に現場に立って、自ら改善点を考えアイデアを実行に移すことで、自身の成長を実感できる仕事です。
たとえば、ラインの生産効率UPの目標を設定し、それに向けて小さな改善を積み重ねて生産効率を上げていきます。何パーセント向上できたか、自分の頑張りが目に見える形で表れるのはやりがいの一つです。
ものづくりの現場に立ち、課題を発見し、改善提案を通して現場が良くなっていくプロセスに直接関われる、そんな生産技術の魅力を感じてもらえたら嬉しいですね。興味を持った方にぜひ飛び込んできてほしいと思います。
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