「憧れ」からの挑戦──仮想化基盤の研究開発で見えた、車載ソフトの未来と可能性
寺村 優希
ICT(ソフトウエア・クラウド)
2023年新卒入社
パナソニックオートモーティブシステムズは、社員一人ひとりの成長と自律的なキャリア形成を支援するため、さまざまな人事制度や研修プログラムを整えています。
加えて、各部門でも担当事業や専門性に沿った独自のキャリア支援を行っています。
今回は、2023年新卒入社 寺村優希さんへのインタビューしました。2023年入社の寺村は、先行開発を行う開発本部で次世代自動車向けの統合コックピット開発に携わり、SDV(Software Defined Vehicle)の実現に向けた仮想化基盤技術の品質向上に取り組んでいます。入社2年目を迎え、未来を見据えた視点を大切しながら、チームで連携して取り組む仕事のやりがいや自身の成長について語ります。
次世代自動車の統合コックピット開発の実現へ。基盤技術開発の現場から

──現在所属されている部署の概要について教えてください。
私が所属しているのは、開発本部のプラットフォーム開発センターです。開発本部は、当社における研究開発の中心的な役割を担っています。「もっと愛される開発本部に」という方針を掲げ、会社の将来の方向性を示す重要な部門として、社内からも信頼される組織をめざすという想いが込められています。
研究開発業務は2種類あり、数年単位で進める先行開発のプロジェクトと1~2年単位で進める商品開発部隊からの受託開発があります。先行開発では、5年先、10年先のパナソニック オートモーティブシステムズ(以下、PAS)の商材の競争力を高めるための活動であり、私たちの部署では仮想化基盤に関する技術の業界標準化に向けた活動や、開発した技術の性能試験を行っています。
受託開発では、主に商品開発を行っている事業部の方々から依頼を受けて進める活動であり、カーメーカーから降りてきた商品仕様に合わせて先行開発で作り上げた技術を商材に組み込むための技術協力を行っています。
──寺村さんは、どのような役割を担っていますか?
私は次世代仮想化プラットフォーム開発部で、ソフトウェア開発を担当しています。主な業務は、次世代自動車向けの統合コックピット開発に関わる研究開発です。
現在のモビリティ業界では、メーターやナビゲーションなど、これまで個別に存在していた機能を一つに統合していく動きが進んでいます。その際に重要となるのが、これまではネットワークを介して複数のシステムを電子的に制御していたECUを、一つのハードウェア上で動作させるための仮想化プラットフォームです。私たちの部門では、カーメーカーが使いやすい仮想化プラットフォームを実現するための、ハードウェアとソフトウェアを分離する基盤の研究開発を行っています。
ソフトウェアの基盤部分の開発であるため、業務では部門を超えた連携が多いのが特徴です。ハードウェアとソフトウェアの界面部分の開発では、ハードウェアチームや、より上位のソフトウェア開発チーム(アプリやミドルウェアの開発チーム)などとの連携が重要になります。外部との連携時は上司のフォローがあるなどバックアップ体制が整っているため安心感があり、部門外の方とも積極的に連絡を取りやすい環境です。
──仕事をする上で、大切にしている価値観を教えてください。
まだ入社2年目で目の前の業務をこなすことに精一杯ですが、研究開発の現場にいる強みを活かしてより未来を見据えた視点を大切にしています。入社時の「自分だけではできないと思うようなことにチャレンジできる会社で働きたい」という想いを持ち続けながら、仕事を通じて「こんなことができるんだ」という発見を積み重ねていきたいと考えています。
「かっこいい人」に憧れて。チャレンジ精神で、あえて苦手分野に飛び込んでいく

──学生時代から入社前後までの軌跡について教えてください。
大学4年生から大学院まで3年間、工学部で組込み機器系の信号処理について研究していました。じつは工学は得意分野ではなかったのですが、漠然とした憧れがあり、できないからこそあえて挑戦しようと進路を決めたんです。就職活動でも、自分がワクワクして憧れるような職業に就きたいという想いを軸に、得意ではない領域に挑戦したいという考え、研究開発職を選択しました。
PASを選んだ理由は、クルマにまだ多くの可能性があると考えたからです。選考通して社風を知る中で、業界全体をリードしていきたいという会社の方向性に共感したことも決め手となりました。
入社後は、現在の研究開発部署へ配属。「ハードウェアとソフトウェアを分離して開発ができる、統合ECUの仮想化基盤技術の研究開発」と聞き、最初は何をしているのかまったくわからない状態でした。ただ、「なんかすごいことをしている部署だ」とポジティブな印象を持ったことを覚えています。
──実際に配属となって、大変だったことはありましたか?
もっとも大変だったのは、学生時代の研究とは異なり、個人での開発ではなくチームでの開発だということです。3〜5人でひとつの機能を完成させる際、足並みをそろえて担当を分担し、連携する必要があります。私はこれまで経験がなかったので難しさを感じ、また、チームですでに使用されている必要不可欠なツールの習得も課題でした。
ただ、先輩方からのサポートが大きな助けとなりました。印象的だったのは「新人教育も先輩の仕事の一部であり、新人の私の仕事が止まることも指導する先輩の責任」という考え方を教えてもらったことです。そこからは、1人で悩んで仕事を止めることなく、積極的に質問ができるようになりました。また、新人だからこそできることもあると教わり、たとえば既存のツールやプロセスに対して新鮮な視点で気づきを提供できる点は、強みとして活かせることを学びました。
2年目になってからは、業務の全体像を把握できるようになってきました。具体的には、各部署の役割や誰がどのような業務を担当しているか、自分に対する指示の意図などを理解できるようになり、それに伴って業務をスムーズに進められるようになってきました。まだ完全な一人立ちとまでは言えない状況ですが、少しずつ成長を実感しています。
得意分野と苦手分野をバランスよく伸ばす──目標達成を重ねた成長の実感

──入社2年目で成長を実感されたとのことですが、そのきっかけは何でしょうか?
開発業務における対応速度が上がったことがきっかけだったと思います。今の業務を担当し始めた当初は2カ月に1回のペースで新規開発の依頼が入り、テストチームに提出するまでに2日を要していました。これを1日に短縮し、さらには0日をめざすなどクォーターごとに目標を設定して達成を重ねてきました。プロジェクトの進行に伴い、現在は週1回のペースで依頼が入るようになりましたが、地道に努力を重ねたことで、対応ができるようになりました。
また、周囲の方々にも支えられました。業務に追われて目の前のことに精一杯になりがちでしたが、上司や先輩が定期的に目標を確認し、方向性を示してくれました。チーム内でも定期的な振り返りを実施し、成功や失敗を分析する機会が多くありました。この振り返りは、成功体験を次に活かし、失敗を成功に変えるために非常に重要です。チームで振り返りを行い、次につなげることでモチベーションを保つことができました。
──ほかにも、業務の中で印象に残っている出来事があれば教えてください。
2024年度は部門初となる社外展示会への出展プロジェクトにも携わりました。デモの開発だけでなく、展示会全体のコンセプト決定やブースレイアウトの設計も担当しました。ソフトウェア開発とは別軸での業務でしたが、自分のどんな場所でも物怖じしない発信力を活かせる機会だと考えて積極的に手を挙げたんです。
この展示会では、最大の目標であった「当社プレゼンス向上のための目立つブース作り」を達成することができ、全来場者(3.2万人)の10%がブースに訪れる成果を上げることができました。また、自分が思い描いたことを形にできたことが、自信にもつながりました。
──これまでの経験を振り返り、学びや気づきになっていることはありますか?
2年間の開発業務と展示会業務を通じて、苦手を克服することと得意を活かすことの両方のバランスが大切だと実感しています。開発業務では自分より優れた人々に囲まれながら苦手なことに取り組み、展示会では自分が得意なことを主体的に提案していきました。どちらかに偏るのではなく、両方の環境に所属することで、それぞれの能力を伸ばすことができたと感じています。
やりたいことが尊重され、自分らしく働ける環境で、これからも

──寺村さんにとって、PASで働く魅力はどんなところにあると思いますか?
当社で働く魅力は、技術面と環境面の両方にあります。技術面では、モビリティ業界の未来に向けて新しいことに挑戦しながらも、過去の知見や学びを大切にしているところに強く共感しています。環境面では、社員一人ひとりのやりたいことを尊重してくれる文化があります。
上司との1on1コミュニケーションでは「やりたいことができていますか」と繰り返し確認してくれますし、それを実現するための調整もしてくれます。もちろんやるべき業務もありますが、その中でも自分の意思や希望を考慮してもらえる環境です。私が部門初の社外展示会の企画メンバーに立候補した際も、強く背中を押してもらいました。
また性別による区別もなく、必要な場合には自然にサポートしてもらえる環境です。比率としては男性の方が多いですが、活躍されている女性の先輩社員もいて、別のチームでも声をかけてくれて、親しみやすいです。
──そうした職場では、どのような方が活躍できそうですか?
会社からは「あなたがやりたいことをやってください」と言われる機会が多いので、明確なビジョンや、やりたいことに強い意思を持っている方は活躍できるのではないでしょうか。また、一個人として仕事を任される場面が多いため、責任感と裁量を持って仕事に取り組みたい方は向いていると思います。
──最後に、寺村さんの今後の展望について教えてください。
短期的には、現在の業務をより余裕を持ってこなせるようになることをめざしています。とくに、開発技術面での知識や技術はまだまだ不足していると感じているので、「この分野なら寺村さんに聞けばいい」と言われるような専門性を早く身につけたいと考えています。また、得意分野でもさらなる経験を積むため、積極的に手を挙げてさまざまなことにチャレンジしていきたいです。
長期的には、業界全体を牽引していくために、当社の技術力を対外にアピールする活動において、中心的な立場で関わっていきたいと考えています。入社するまでモビリティ業界のことは詳しくなかったのですが、仕事をする中で大きな興味を持つようになりました。好奇心やチャレンジ精神といった自分の特性を活かしながら、最先端の領域、業界の発展に貢献できる存在になりたいと考えています。
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