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他流試合で成長を実感 社外技術コンテストに挑戦

  • イノベーション

技術チャレンジ部
「自動運転AIチャレンジ」は、これからの自動車業界をけん引する技術者の発掘・育成を目的に、自動運転に関するAI技術を競う国際的な競技大会です。この大会での優勝を目指す、当社の若手技術者たちの活動を紹介します。

視野を広げ、新しい技術を学び、人脈を広げる

普段の仕事は忙しいし、やりがいも十分ある。それでも、純粋に技術を探求し、知的好奇心を満足させたい。パナソニック オートモーティブシステムズ(PAS)の技術者たちは、少年のような心で技術に向き合っています。「技術チャレンジ部」は、そんな技術者たちによる「部活動」です。「成長の場の相互提供」というコンセプトの下、有志が集まり、普段の仕事から少し離れて、さまざまな技術的なチャレンジを楽しんでいます。

横浜拠点(写真左)と大阪拠点(写真右)
自動運転AIチャレンジに挑戦する皆さん。横浜拠点(写真左)と大阪拠点(写真右)にて。

技術チャレンジ部は、2019年、車載関連の先端技術の開発を担うPASの技術者が中心となって始まりました。パナソニックグループ各社の技術者も加わり、今ではおよそ300人が参加しています。視野を広げ、新しい技術を学び、人脈ネットワークを広げるなど、多様な活動にチャレンジする中、社外の技術コンテストにも積極的に参加しています。

「自動運転AIチャレンジ」(主催:公益社団法人自動車技術会)への挑戦もその一つです。CASEに代表される新たな技術領域が競争のコアとなる中、今後の自動車業界をけん引する技術者の発掘・育成を目的に、自動運転に関するAI技術を競う国際的な競技大会です。事前課題をもとに、自動運転のシミュレーションデータを作成し、決勝戦ではそのデータをもとに実車を自動走行させ、障害物や他の車両を回避できたかなどの走行データと走行タイムで競います。

電動カート
事前課題をもとに作成した自動運転のシミュレーションデータで、電動カート(写真上)を自動走行させて競い合います。
競技中の様子。
競技中の様子。
出場したメンバー。
出場したメンバー。

PASは、2022年の大会に2チームが出場し、一般クラスで3位、上級クラスで4位の上位入賞を果たしました。2023年の大会では2チームが決勝戦に進み、2選手が、「コミュニティ貢献賞・広報賞」を受賞しています。

大会に参加した社員の声を紹介します

競技を通じてソフトウェアの重要性を再認識

ishibushi
石伏智さん:カーメーカー向け自動駐車システムの開発に携わる。

自動運転システムは、認知、判断、制御、この3つのコンポーネントで構成されます。このうち、私が普段の業務で携わることができるのは主に認知や判断の部分ですが、競技を通じてすべてのプロセスのソフト構築を学べたことで、自動運転システムの複雑さと、人の命に関わる自動運転におけるソフトウェアの重要性を再認識しました。

自動運転のような大規模システムでは、役割を分担し、相互にコミュニケーションを取りながら開発することが重要です。異なる得意分野を活かして、多様なチームで活動する大切さは、普段の業務でも言えることです。後輩の皆さんにも、社外の技術コンテストへの参加を勧めています。どのコンテストも、新しいテーマを理解して、期間内に開発を完了するのがミッションです。ミッションをやりきることは、普段の業務にも通じることです。社外コンテストに参加すれば、自分の技術レベルを客観的に評価できます。自分より優れた人に学べばスキルアップになるし、モチベーションにもなります。技術者として成長できる機会を活用してほしいと思います。

異業種との交流でもっとすごい価値を生み出す

kuroda
黒田和暉さん:カーメーカー向け機器の大規模ソフトウェア開発に挑戦中。

競技では、あるオープンソフトウェア(OSS)を利用して、シミュレーション走行のデータを作成します。OSSですから、中の作りこみは全部公開されていて、一般人を含むコミュニティで開発は進められています。このソフトウェアを手元で動かし、中を読み解くことで、普段の業務では得られなかったさまざまな気づきや学びが得られます。

表彰式では、IT業界など異業種の皆さんと交流を深め、ソフトウェア開発の最先端事情や技術をどうやって研鑽しているのかなど、直に意見交換できたことも楽しかったです。ソフトウェア業界や自動運転に関する最新の知見を駆使して開発するOSSの開発者に対して、私たちPASはカーメーカーに寄り添う製品レベルの技術開発を着実に進めています。両者の価値観をマージすれば、もっとすごい価値を生み出せるんじゃないかと期待して、ワクワクします。

日常を新しい視点で見直すチャンス

shimizu
清水裕文さん:自動車の安全・安心機能に不可欠な車載カメラの開発に取り組む。

予選がまずまずの成績であったことから、「2023年度は上位を狙えるぞ!」と意気込んで決勝に臨んだものの、いざ実機を動かすと、練習の初期段階でうまくいかず・・・。シミュレーション環境ではわからない、言語化されない部分への対応ができていないことが敗因で、パラメーターをもっと深く読む、実機ではここを調整しなければならないなど、実機ならではのノウハウの蓄積が必要でした。

技術コンテストへの参加は、日常業務から離れて、モノづくりを純粋に考える時間やきっかけが得られるところがいいですね。他社のエンジニアや学生さんと会話する機会が得られたのも、すごくよかったです。広くアンテナを張ることで、自分の普段の仕事について、新しい視点で見直すことができますし、大いに刺激を受けました。社内においても、普段の仕事とは異なる横のつながりができるのが、とてもありがたいです。例えば、仕事でつらくなった時、共感してもらったり、アドバイスをもらえたりする仲間がいると、本当に安心できます。私自身、目の前の仕事だけで余裕をなくしがちですが、だからこそ、心の余裕を持てるように、これからも活動を継続したいです。

これからの重要技術を体験的に学ぶ機会

iwasa
岩佐健太さん:開発部門で、ミリ波レーダーの開発に携わる。

センサー開発の経験を生かして、ある対策の開発を担当しました。チームのメンバーそれぞれに得意な技術分野があり、役割分担して進めることが多いと思いますが、全員がシステム全体をある程度は理解して開発する必要性を感じました。

残念ながら、決勝戦当日は海外出張と重なり参加できませんでしたが、その出張先で自動運転の技術者と会話する機会を得ました。彼らの使う言葉や技術には、今回の競技で使用したソフトウェアと共通する内容が多く、競技を通じて世界共通の自動運転技術に触れていたことを改めて認識できました。また、自動運転に関わらず、自動運転AIチャレンジで学んだことは、いろいろな分野で基礎となる要素技術も多く、これからの私たちに必要な技術を体験的に学ぶ貴重な機会になっていると実感しています。

技術者が競い合い・学び合い・楽しむことが会社を強くする

takada
高田征吾さん:本年5月から研究開発業務のため、北米で勤務。

技術者は、生涯、研鑽し続けますし、それを仲間とともに成し遂げるのが歓びです。自動運転AIチャレンジへの参加を通じて、世の中の最先端技術に触れ、技術や知識の習得はもちろん、自分の手でモノを作り、アップデートする一連のプロセスを動かすことが、技術者としての自信になります。

私は、大会への参加を通じて、技術の奥深さと「技術って純粋に面白いな」と、改めて感じています。普段の業務では明確な役割分担を行い、最初から最後まで、すべてを一人でやることはなかなかありませんが、このコンテストでは、自分たちだけで一連の開発をやりきらねばなりません。社外の皆さんと競い合うことは個人の学びにつながり、仲間と課題を乗り越える楽しさとなり、日々の活力を生み出します。仕事の効率化にもつながり、その積み重ねが会社を強くするのだと思います。