Innovation
EVパワエレ(車載充電器)
電力変換技術の追求によりCO2排出量の削減に貢献
電気自動車(以下、EV)の普及が拡大するなか、車載充電器はEVに必ず搭載されており、EV充電時の消費電力量、ひいてはCO2排出量の削減を可能にする重要なシステムです。
当社は、2012年に現在主流となっている車載充電器システム(*1)を業界に先駆けて日産自動車様に納入し、2020年には、電力変換技術の進化として、さらなる小型・高効率・高出力化を行った統合システム(*2) を、欧州のカーメーカーに納入しました。
現在も高出力車載充電器における電力変換効率で業界トップレベルの実力を有しており(「電力変換効率」は車載充電器の性能に大きく関わる要素の一つ)、充電時間の短縮や高効率化、小型化で、お客様からも高い期待を頂いています。
また、更なる小型化や高出力・高電圧化、クリーンエネルギーの有効活用(双方向)等の技術革新に取り組んでおり、その一環として、名古屋大学と共同で環境省の事業も受託しています。
- 充電機能と、DC/DCコンバーター(直流を直流へ変換し、必要な電圧に変換したり安定化させたりする機能) を統合したシステム商品
- 高出力の車載充電器や車載電池から車両システム全体に減圧・給電するDC/DCコンバーターと車載充電器を一体化した統合システム
業界最高水準の電力変換効率
EV普及における消費電力削減量はCO2削減に貢献度大
EVの駆動モーター等は直流(DC)・高電圧で動くため、家庭などの100Vや200Vの交流(AC)電源から車載電池へ充電する際には、車載充電器(以下、OBC:On Board Charger)で交流から直流に変換する必要があります。
このような充電においては、一般的に電力変換効率に応じた充電ロスが発生します。当社が既に量産している製品の電力変換効率は既に96%と高い効率ですが、今後、さらなる技術革新によって、2030年には業界最高水準98%を目指します。
電力変換効率向上の技術はCO2削減にも繋がり、仮に電力変換効率が3%向上し、この技術が全世界のEVに適用されるとすると、CO2は754万㌧※削減できる試算となります。一般的にCO2排出量は1世帯あたり年間5,600kgであり、これを吸収するにはスギの木が約600本必要と言われていますので、EV普及によるCO2削減効果は大きいことが分かります。
- 2030年におけるEVの電力消費量は555TWh・年と試算されている。
高出力・高電圧の領域に注力し、充電時間の短縮に貢献
電力変換効率の他にもOBCの性能に関わる要素として出力電圧があり、出力電圧の数値が大きいほど早く充電ができます。例えば、2023年時点で開発されているOBCの出力には3.3kWから22kWまであり、家庭で交流電源から普通充電をした場合、単純計算で充電時間を1/6以下に短縮できます。
一方で高出力に対応できるOBCの実現には絶縁、EMC(電磁的両立性)、熱課題等を解決する高度な技術力が必要であり、グローバルでもこれに対応できる車載部品メーカーは多くはありません。
当社は過去からの量産実績と独自の技術ソリューションにより高出力化を実現しております。今後はグローバルで普及が予測される電池電圧800Vの充電システムに対応すべく、小型・高効率化も含めて、高出力化による充電時間の短縮に貢献します。
変換効率向上に向けて、環境省の事業を受託。
名古屋大学と共同で技術開発
変換効率向上と充電時間短縮の更なる革新をもたらす鍵となる技術が、高耐圧・高周波駆動・低損失の窒化ガリウム(GaN)を用いたワイドバンドギャップパワー半導体の車載充電器への適用です。先行技術開発を環境省の令和5年度地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業として「ワイドバンドギャップ半導体によるEV車載用高性能充電システムの技術開発」というテーマ名で名古屋大学と共同開発を進めています。
<参照>
ワイドバンドギャップ半導体によるEV車載用高性能充電システムの技術開発
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/cpttv_funds/db_current/
EVパワエレと技術革新により、CO2削減に貢献
当社はお客様のご期待に応えるべく、2012年からOBCを市場に投入し、量産実績と技術・ノウハウを蓄積してきました。今後もクルマの電動化へのお役立ちを通じた地球環境保全に貢献する為、さらなるEVパワエレの技術開発(高効率化・高出力化・高電圧化・双方向化)を追求していきます。