超多品種少量 生産を支える現場の匠
松本工場
松本工場の強みは、1製品で500種類以上という超多品種少量生産への対応力。激変が続く自動車業界にあって、モノづくりの変化対応力で勝ち残っていきます。
長野県のほぼ中央に位置する松本市は、アルプスの山々に囲まれた自然豊かな土地。昔から、時計や精密機器の生産が盛んです。当社の松本工場は、JR松本駅から車でおよそ20分の大久保工場公園団地にあります。
工場の操業開始は1974年で、最初の生産品目は電卓でした。翌年からカーオーディオの生産が始まり、以来、パナソニックグループの車載機器の生産をリードしてきました。現在は、IVI(イン・ビークル・インフォテインメント)を中心に、ディスプレイ・オーディオ、カーナビゲーションを中心とした快適な車室空間を創出する最先端の車載製品の製造はもちろん、新工法の開発や、次世代のモノづくり人材のリーダー教育が行われています。
松本工場の強みは、超多品種少量生産への対応力です。例えば、あるカーメーカー向けのIVIシステムでは、1シリーズあたり500種類以上の多品種少量生産に対応しています。この超多品種少量生産への対応力を強みに、「業界ナンバーワンのモノづくりイノベーター」を目指しています。
IVI(イン・ビークル・インフォテインメント)システム。
激変する自動車業界にあって、SDV(Soft Defined Vehicle:ソフトウエア中心の車づくり)の中核を担うインフォテインメントシステムの開発では、ソフトウエア開発の複雑化とスピード化への対応が不可欠です。また、近年の半導体を中心とするデバイス不足で、在庫は急増。さらに、円安による原材料価格の高騰など、国内工場にはさまざまな課題が山積しています。こうした課題を解決する上で不可欠な取り組みが、製品を生み出す製造現場を支える技能者のスキル向上です。
そこで、当社では、モノづくりに携わる人材の能力向上と育成を目的とした、「モノづくり競技大会」を毎年開催しています。今年度も社内予選を勝ち残った選手が、10月に開催されるパナソニックグループの大会に挑戦します。
メカトロニクス部門での優勝(金賞)受賞を目指して、日々切磋琢磨する社員の思いを伝えます。
突発的な故障への対応など、生産ラインをいかに止めないかが最重要のミッション。
2022年度にメカトロニクス部門にて金賞を受賞し、現在は後輩の育成に専念。
普段の業務は、カーナビゲ―ションの心臓部である基板部品の製造工程で品質管理を担当。
昨年の全社大会で賞を受賞。今年も連続受賞を目指す。
Q 技能競技大会への参加を通じて、気づいたことはありますか?
藤川:一番の学びは、事前準備の大切さ、です。メカトロニクスの競技では、設備を事前に確認する時間が設けられているのですが、その事前準備で設備をいかに完璧な状態に仕上げられるかで結果が決まると言っても過言ではありません。しっかり事前に準備して臨む大切さは、普段の業務をスムーズに進める上でも、とても大事なことです。
Q 小林さんの指導はいかがですか?
藤川:わかりやすいです。もちろん、小林さんのやり方が自分にそのまま当てはまるわけではないので、自分に合うように変化させて、自分の中に落とし込むように工夫しています。私は普段はメカトロ競技とは全く違う業務に携わっていますので、感覚が鈍らないように、毎週のトレーニングは欠かせません。
小林:私は大会の3カ月ぐらい前から、大会参加に向けた準備のギアを上げるのですが、藤川さんはかなり早くから準備していますね。指導としては、トラブルの仕掛を依頼されたり、過去の問題を課題として出して答え合わせをしたり。今年はそれもやりつくしました。去年の競技で足りなかった機材の事前準備もしっかりやっているので、今年の金賞は間違いないでしょう。
Q 自動車業界が激変する時代に、モノづくりにはどのような対応が求められるでしょう。
小林:モノづくりの現場でも大きな変化を実感しています。時代の変化についていくためには、変化の一つひとつに追従し、モノづくりとして何をなすべきかを考え続け、対応し続けることだと思います。
Q 考え続けるためには、人財育成が重要ですね。
小林:はい。やって見せて、やらせてみて、やった結果をフォローする、この流れが、モノづくり人材の育成には大事です。私を指導してくださった先輩は、徹底して「やらせる」人でした。指導する立場になった今だからこそわかるのですが、重要な仕事を人に任せるためには、勇気と覚悟が必要です。私の先輩は、失敗したら自分が責任を取ると、腹をくくってやらせてくれたのだと感謝しています失敗を恐れてばかりでは、任せることはできません。私も勇気を持ってその先輩のやり方を引き継いでいきたいです。
Q これからの抱負を聞かせてください。
藤川:競技大会での連続受賞です。そして、ゆくゆくは特別技能賞を取りたいです。そのためには、本番を意識した日々の練習を頑張るのみです。自分に足りないところや課題など、すべてをつぶしたうえで、全力で挑みたいです。
業務でも、いずれは自分の持つ保全メンテナンスやシーケンスの知識やスキルを活かした仕事に就いて、会社に貢献したいです。そのためには、さらにスキルアップに取り組み、現場でリーダーシップを取れるように成長したいです。