「買う」から「つくる」へ。
戦略的調達がけん引する事業成長

快適性や安全運転支援、環境対応車に最適化された車載システムやソリューションを、グローバルに提供しているパナソニック オートモーティブシステムズ株式会社(以下、PAS)。現在、同社のGlobal調達本部では、従来の調達のあり方を見直し、事業成長に直結する戦略的な体制へと進化する転換期を迎えています。グローバルでトップクラスのシェアを握る製品群を支える調達部門を最前線でけん引する2名の変革リーダーにお話を伺いました。

「調達」が価値をつくる時代へ。進化する車載ビジネスの最前線

執行役員 チーフ・プロキュアメント・オフィサー(CPO) 兼 Global調達本部 本部長/奈義良 康之
執行役員 チーフ・プロキュアメント・オフィサー(CPO) 兼 Global調達本部 本部長/奈義良 康之

──現在、Global調達本部の組織再編と強化を図っている背景についてお聞かせください。

Global調達本部は2025年4月に立ち上がりました。その背景には、2024年12月に当社がパナソニックグループからカーブアウトし、グローバルなオルタナティブ資産運用会社であるアポロ・グループ(以下、Apollo)との戦略的パートナーシップに基づく新たな経営体制へ移行したことがあります。

パナソニックグループ各社の調達活動はパナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社に集約されており、「集中契約」「集中購買」という形でパナソニック全グループへの調達購買のプラットフォームが運用されてきました。当社の場合、車載向けの機構部品や顧客指定の液晶といったカスタム部品は当社が独自調達し、半導体や電子部品についてはこのプラットフォームを活用しています。

現在はApollo傘下となったことで、パナソニックグループのプラットフォームから独立した調達機能を構築・運営していく必要があります。これに対応するべく、「Global調達本部」として組織の再編を日本地域だけでなく、グローバルに行うことになりました。現在は当社が独立した調達体制に向けての移行期間として、体制構築の準備を進めているところです。

──Global調達本部は、PAS全体の事業戦略においてどのような役割を担っているのでしょうか。

Global調達本部は単なる調達機能にとどまらず、事業成長に資する「戦略的な調達組織」としての役割を期待されています。取引先様を単なる「供給元」ではなく、共に未来を描き、創る「戦略的パートナー」として捉え、従来型の「あるものを買う調達」から、「ともに価値を創る調達」へとシフトしていくことが、Global調達本部の使命だと考えています。

半導体や電気部品、そして材料の進化なくして、当社製品の進化はありません。今後は、製品の開発段階から取引先様と一緒にロードマップを描き、素材や技術の共創を通じて、製品イノベーションにつなげていくことが必要です。このような調達スタイルは、今後グローバルスタンダードになっていくでしょう。

市場環境の変化も大きく影響しています。環境意識の高まりからEV・ハイブリッドへの関心増加や、都市部では「所有」から「利用」へのシフト、またクルマを移動空間と捉えて車室内空間をより快適にすることや、ADAS(先進運転支援システム)の普及による衝突被害回避や軽減といった、安全に関する機能の拡充など、ユーザーのニーズは多様化しています。

当社は「車載インフォテインメント(In-Vehicle Infotainment)」など、車室内の情報を統合する先進機器に強みがありますが、今後はさらにキャビンの快適さも差別化要素になってきます。また、ソフトウェアによって自動車の機能をアップデートできる「SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)」が今後のトレンドとなる中で、ソフトウェアの進化に追随できるハードウェアが必要です。その実現には、市場トレンドを理解し、技術力や供給力のある取引先との連携が欠かせないのです。

10年後の生成発展を見据えた組織強化へ

執行役員 チーフ・プロキュアメント・オフィサー(CPO) 兼 Global調達本部 本部長/奈義良 康之

──組織再編・強化フェーズにあたり直面している課題や、これから注力すべきテーマについてお聞かせください。

まずは、半導体や電子部品といった基幹部品に関する契約機能の強化です。これらは当社の製品競争力を左右する極めて重要な部品です。今後は自社主導で契約交渉を行い、取引条件の最適化を図っていく必要があります。

この移行にあたっては、調達組織としての「交渉力」「意思決定力」の強化も不可欠です。現在はパナソニックグループのプラットフォームと連携しながら業務プロセスを進めていますが、完全自立を見据え、主体的に契約を締結・管理できる体制の強化を早急に構築していくことが喫緊のテーマとなっています。

加えて、組織全体の人財基盤の強化も図っていかなければなりません。企業内における調達機能の重要性を理解したうえで、仕事を通じた自身の成長と事業貢献を結びつけることが重要です。

外部環境トレンドを踏まえ、主体的に行動できるタレントを増やし、個々が力を発揮できる環境と共に結果に対する適切な評価や仕事が楽しいと思える組織風土を整えることにも注力していきたいと考えています。

──PASおよびGlobal調達本部として、今後実現したいビジョンについてお聞かせください。

当社は現在、将来的な上場(IPO)を視野に入れつつ、自社の調達を自立して担える体制づくりを進めています。ただしIPOは通過点であり、いかに持続的に価値を生み出し、社会的にインパクトのある存在になっていけるかが重要です。

Global調達本部として目指しているのは、契約を伴う全ての支出に調達本部が関与し、最適な取引条件を導き出す、全社的な調達ガバナンス体制の確立です。これは、製品に関わる直接材料や一部の間接材料の調達にとどまらず、全ての物品、ソフトウェア、業務委託契約・電力、トラベル、不動産といった領域においても同じです。これらの支出に順々に関与を着手し、あらゆる支出を網羅的に管理し、企業価値の最大化に資する調達組織へと進化させていきたいと考えています。

さらに、コックピットシステムはSDVがグローバルトレンドとなり、複雑なアルゴリズムやAI(人工知能)を活用した大規模車載コンピューターによる制御が必要となってきます。そのため、ソフトウェアの拡充に対応できるハードウェア開発は不可欠です。

HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)事業でグローバルNo.1を目指すという中長期成長戦略の実現に向けて、調達規模も拡大が見込まれ調達戦略の立案と実行が重要になってきます。こうしたダイナミックな変化に対応するためにも、多様なバックグラウンドを持つグローバル人財とともに、挑戦し、進化し続ける組織づくりを進めていきたいです。

グローバルシェアトップクラスの強みを生かし、選ばれる存在へ

Global調達本部 Global 調達契約統括部 統括部長/吉田 健二
Global調達本部 Global 調達契約統括部 統括部長/吉田 健二

──組織再編・強化フェーズにある今、PASの調達部門で働く醍醐味はどのような点にあるでしょうか。

PASの調達部門は、大きな転換期を迎えています。私が統括する「調達契約」に関しても、これまではパナソニックグループのバイヤーと連携しながら契約業務を進める、「契約管理」の役割が中心でしたが、今後はPAS自身が主体となってバイヤー業務を担っていく体制へと移行していきます。

業務の内製化は、単なる担当範囲の拡大にとどまらず、仕事の進め方を主体的に見直し、裁量を持って取り組めるチャンスでもあります。特に、半導体や電子部品といった基幹品の契約交渉もPAS主導で進める方針であり、その推進役として活躍できる点に、大きなやりがいがあります。

調達契約は、製品開発のたびに調達先や品番が増えていく性質があります。カーメーカー様の近く、グローバル5拠点で開発を行う当社では、その傾向がより顕著です。だからこそ、グローバルの関係部門と部品品目ごとに調達戦略を議論し調達先を集約し、契約の効率化や戦略的見直しを進めていく必要があります。

調達戦略は品目ごとに異なるため、創造性と判断力が問われます。決まった型にはまらないからこそ、自ら考え、動き、成果を出したい方にとっては、大きなやりがいと成長実感が得られるでしょう。

──他の車載製品・システムメーカーの調達部門と比較して、PASだからこそ得られる経験やキャリアにおける価値についてお聞かせください。

まず、PASの注力領域である「車載インフォテインメント」において、われわれはグローバルシェアトップクラスのプレーヤーです。また、「快適・安心・安全」を実現する幅広い製品を、グローバルの多くの有名カーメーカー様に納入しています。

このことが調達部門の仕事にどう影響するかというと、まず、当社として各地域のカーメーカー様に対して、先行して提案活動を行う機会が多くある、ということです。購入していただく取引先側からすると、単に当社との取引規模が大きいだけでなく、「PASと組めば各地域の最新ビジネス情報が得られる」という大きな付加価値になります。ですから、当社の契約バイヤーは、当社に強い関心を持つ優良企業と共に、新技術・新製品の導入やカーメーカー様の期待に応えるための課題解決に取り組むことができる環境にあります。

当社は特定のカーメーカー系列には属していないため、さまざまなメーカーからフラットに信頼を得られる立場にあります。結果として、幅広い先進的な案件や新たな技術情報に触れられるチャンスも多く、社内の技術部門や設計チームと共有し、創造的な議論ができる環境が整っています。

変革期の今だからこそ、自らの行動が成果に直結する

Global調達本部 Global 調達契約統括部 統括部長/吉田 健二

──今回の募集では、どのような経験やスキルを持つ人財を求めているでしょうか。また、共通して必要なマインドセットがあればお聞かせください。

半導体分野で実際に調達・契約業務に携わった経験がある方や、マネジメントの経験がある方であれば、即戦力としてすぐにご活躍いただけるでしょう。それ以外にも、たとえば半導体メーカーでプロジェクトマネジメントや営業に関わった経験があり、「今後は調達・契約の仕事にチャレンジしてみたい」という意欲をお持ちの方も大歓迎です。

マインドセットとしては、自ら考え、動き、達成感を得ることにやりがいを感じられることが大切です。自分の取り組みが成果につながることに喜びを見いだせる方にとっては、非常にマッチする環境だと思います。

現在は、これまで本社にあった調達機能をPAS内に取り込んでいく、「組織づくり」のフェーズにあります。だからこそ、与えられた業務をこなすだけでなく、より効率的なプロセスや仕組みを一緒に考えていく姿勢やモチベーションも必要になります。

──最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。

PASでは現在、若手から中堅層を中心に、より意欲的に業務に取り組めるよう、研修や教育のあり方を見直し、アップデートを進めています。従来の座学に加えて、取引先のご協力を得て工場見学や勉強会を企画するなど、より実践的でリアルな学びの場を積極的に取り入れています。

また、近年はキャリア採用者が増えているため、PASという会社がどんな風土や文化を持っているのかを理解してもらうための仕掛けづくりにも注力しています。人と人とが自然につながり、チームとしてのまとまりを感じられるコミュニケーションを大切にしている点は、働きやすさにもつながっていると感じます。

この記事を通じて、変革マインドを持ち、達成感を得られることをやりがいと感じる方が、グローバルに活躍できるチャンスのあるPASの「調達」領域に興味を持っていただけたなら、ぜひご応募いただけるとうれしく思います。

出典:ビズリーチ 公募ページ「パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社」(2025年8月28日公開)より転載