日本を成長に
振り向ける力になりたい。
守屋 洸洋
開発本部 研究・技術開発系
ICT(ソフトウエア・クラウド)
2017年新卒入社
パナソニックオートモーティブシステムズは、社員一人ひとりの成長と自律的なキャリア形成を支援するため、さまざまな人事制度や研修プログラムを整えています。加えて、各部門でも担当事業や専門性に沿った独自のキャリア支援を行っています。
今回は、開発本部の「WillによりそうABD」の取り組みとして、世界で最も有名なビジネススクールの一つであるハーバードビジネススクール(ハーバード大学の経営大学院、以下、HBS)に留学中の守屋洸洋さんに、留学した経緯や現在の様子についてインタビューしました。
※ABD:A Better Dialogueの略。本人と上司とで相互理解と信頼関係を構築し成長やチャレンジにつながる対話を行い、個人の成長やチャレンジを後押しする仕組み。
リーダーに求められる
スキルの習得に期待
開発本部の「WillによりそうABD」は、1on1ミーティングにおいて、本人のWillをしっかりくみ取って、Will/Can/Mustを一致させるための打ち手を上司と一緒に考える、そして上司と一緒に一人ひとりのキャリアプランを策定していくという取り組みです。
守屋さんが開発本部にHBSへの留学希望を提出したのは2021年1月のこと。上司と将来のキャリアについて話し合い、半年後の9月にキャリアプランが承認され、働きながら試験勉強をして、2022年3月に留学の切符を手に入れました。
現在、2022年8月の入学から2年間の予定で同スクールに通い、MBA取得を目指している守屋さん。MBA取得を目指そうと思ったきっかけは、ある人から『大企業でリーダーシップを取りたいと思うならHBSがいいよ』とお勧めされたからだそうです。
職場が海外留学への挑戦を
全面的に支援
HBSへの入学が決定したとき、職場の上司や同僚は心から祝福してくれたと言います。守屋さんの所属する開発本部、関連する事業部や他の事業会社などパナソニックグループ全体でMBA取得を奨励する動きが顕在化していることを踏まえて「日本企業が世界で勝ち残っていくためにも必要だ」と守屋さんの挑戦を快く受け入れ、受験勉強期間も含めて全面的に応援、支援しています。
「仕事をしながら受験勉強に励む私の姿を見て『刺激を受けた』という嬉しい声も聞こえてきて、大変光栄でしたね。程なくして直属の上司もシリコンバレーのオフィスに栄転になりました。面白い巡り合わせですよね」と守屋さん。
グローバルビジネスの
リアルを疑似体験
現在、留学生活を通じてさまざまな刺激を受けているという守屋さんは、同スクールの魅力をこんな風に捉えています。 「HBSに限らず、ビジネススクールにはさまざまな国籍、業界、バックグラウンドの人たちが集まってきます。将来的に自分が会社の代表としてグローバルに事業を展開するとしたら、そのような人たちとの議論の場は避けられません。ビジネススクールは、その疑似体験ができるのが一番の魅力だと考えて入学しましたし、実際に学んでいる今も、それこそが一番のメリットだと感じています」
毎日が猛勉強の連続で、睡眠時間を削って予習の時間に充てている守屋さん。1つの授業に対して数十ページにも及ぶ資料を読み込み、あらかじめ自分の意見や考え方を整理した上で議論に臨みます。授業では、他の学生や教授と議論を交わすなかで新しい見方や考え方に気づき、受け入れ、用意していた自分の意見が変わっていくこともあります。そうした刺激のある環境に自らの身を置くことがどんなに重要かをひしひしと感じる日々です。
また、教授陣の中には世界の潮流を作っているような実務家もいらして、そうした方々と授業の枠を超えて議論したり関係を構築できたりする経験も貴重です。さらに「リーダーシップと企業の説明責任(Leadership and Corporate Accountability)」という投資家・従業員・社会等との関係性の中でのリーダーシップを学ぶコースでは、パナソニックの創業者である松下幸之助の経営理念が扱われており、守屋さんにとっては、改めて世界における自分たちのポジションを再認識する機会にもなっています。
英語力に関しては、大学院で論文執筆の際に使っていた程度。帰国子女ではないため、他の学生と対等に議論する上では相応の準備が必要なものの、それほど苦労することはありません。その理由を守屋さんはこう説明します。 「他人の心情を察知する能力が非常に高い人が多く、不思議と心理的安全性が担保された状態で議論ができます。クラスメイト一人ひとりが協力し、気持ちよく意見を言える環境を作っているような雰囲気があり、思ったより参加しやすいなと感じています。お互いのバックグラウンドが異なることを前提に、議論を深められるのが良いですね」
誠実な対話から生まれる
共感の重要性を痛感
そんな守屋さんの休日はというと、クラスメイトと一緒にご飯を食べたり、旅行に出かけたりといった時間もなくはないものの、「日曜日は基本的に勉強しています」と、やはり勉強中心の留学生活が伺えます。
また、留学中の想い出深い経験を聞くと、1年目の終わりに実施した「Japan Trek」を挙げました。Japan Trekとは、約1週間をかけてHBSの学生に日本の政治・経済・文化などを体験してもらう研修型プログラムのこと。その中で守屋さんは、日本の政治経済界のリーダーをゲストに迎えたパネルディスカッションで、モデレーターを担当。また、参加者に日本の文化を紹介する場では、生け花のセッションを担当しました。
実は生け花歴5年だという守屋さん。開催する前は「花のそのままの美しさを最大化するという精神性」「どちらかというと自己表現の一種であるフラワーアレンジメントに対し、花との対話を重視するのが生け花」といったポイントをどう説明するべきか、果たして理解してもらえるだろうかと不安だらけだったそうですが、結果的に参加者の多くが「Japan Trekの中でベストな体験だった」「ボストンでもぜひやろう!」と喜んでくれました。
「2つのイベントで、参加者に共感してもらえたことは大きな自信につながりました。少し話が飛躍し過ぎかもしれませんが、誠実な対話が大きな共感を呼び正しい方向に向かっていくとすれば、日本の”失われた30年”を終わらせることもできるかもしれない、と感じました」と守屋さんは語っています。
日本を成長に
振り向けるために
最後にここでの学びを今後どう活かしていきたいかを尋ねると、守屋さんからこんな答えが返ってきました。 「企業の構造・カルチャー改革の必要性として”失われた30年”ということが言われて久しいですが、世界から取り残され成長の機会を逸している日本が、少しでも良い方向に向かえるよう後押しできる人になりたいと思うようになりました。例えばパナソニック オートモーティブシステムズが様々なステークホルダーから一層厳しくみられるようになっている現在の潮流も踏まえて、もう一段と成長に振り向けることに貢献しつつ、それが最終的には日本経済の活性化につながっていくイメージです。
人は成長のモーメンタムを感じていたほうが、幸福度が高まると思うのです。組織に所属している人もしかり、日本に住む人もしかり。そうした成長のモーメンタムを感じる人を増やしていきたいと考えています」
※所属・内容はインタビュー当時のものです。