Our Impact
今の自分にとってベストな働き方を選択
富田さん インフォテインメントシステムズ事業部
2009年の入社以来、一貫してカーメーカー向け商品の機構設計を担当してきた富田さんは、第二子の誕生を控え、自身2回目となる育児休暇取得を予定しています。その期間は、1回目の4か月間を大きく上回る8か月間。「育児休暇を取得する側の人間に不安はないですね。不安なのはむしろ残されたメンバーのほうでしょう。」と笑う富田さんに迷いはありません。人生において、今は愛おしい家族との時間に寄り添うことを優先するタイミングだとして、周りの理解と協力のもと、自分にとってのベストな働き方を実現しています。
目指すべきゴールに照らしてどうあるべきかを判断
—— 商品開発に携わるお仕事は、さまざまな部門と協働する機会が多いのでは?
そうですね。お客様と一緒にお客様の欲しいものを作り上げていく仕事なので、カーメーカーのご担当者様、社内では、電気設計者やソフトウェア設計者、営業担当者、さらには量産間近のタイミングになると、工場の担当者や品質管理部門とのやりとりもあります。
—— 新しい価値を生み出すとなると、多様な視点がぶつかり合う局面もあると思います。そんなときはどうしていますか?
自分や、自分に近しいメンバーの考えが必ずしも正しいとは限りません。立場や業務が変われば考え方が違うのは当然です。最終的に会社として目指すべきゴールからブレていないことを確認した上で、相手の考えを受け入れるべきかどうかを判断しています。直近だけ見れば設計部門に大きな負荷がかかるような選択でも、長い目で見たら効率的だったり、お互いのためになることだったりする場合もあるからです。もちろん、リソースが限られている中でなんとかしなきゃいけない状況は苦しいですけどね。
幸せを感じる“バランスのよい働き方”は人それぞれ
—— ところで、ワークライフバランスという言葉はどのように理解されていますか?
初めてワークライフバランスという言葉を耳にしたときは、仕事の時間を減らしてプライベートな時間を持つことを推奨する活動だと思っていましたが、実際に育児休暇を取得してみて、何をもって”バランスのよい働き方”とするかは一人ひとり違うことに気づきました。たとえば、仕事が大好きな人は仕事をしている時間に幸せを感じているわけで、その人から仕事を奪うことは不幸でしかありません。
育児休暇を取得するまでは残業することが当たり前の毎日で、そんなことを真剣に考える時間もなかったのですが、育児休暇に入り朝起きてから寝るまですべてが自分の時間という生活が続いたとき、自分の人生において今もっとも大切にすべきものは何なのかを考える時間を得ました。その結果、仕事は決して嫌いではないけれども、これまで当たり前にしてきた残業の時間を家族に注ぐのが、今の自分にとってベストな働き方であるという結論に至ったのです。
—— それで、育児休暇から戻られた後も定時で仕事を終わらせるスタイルを徹底されているのですね。時間内にパフォーマンスを上げるために工夫されていることはありますか?
そもそも残業ができないという前提に立つと、仕事の見積もりの仕方も変わってくるんですね。生産性を高める努力をする一方で、少々ネガティブな言い方をすると、必要最低限の仕事で止めるようになりました。たとえば、良かれと思って過剰に品質を上げていた部分を下流工程に影響がない範囲で止めたり、仕事量を見極めて受ける・受けないを決めたり。あとは、仕事が属人化しないように調整しています。つまり、任せる部分を増やすということです。1回目の育児休暇取得をきっかけに、周りのメンバーが一回りも二回りも成長してくれたおかげで、今はいざというときに任せられる安心感があります。
—— 育児休暇の取得や定時退勤の際に、引け目を感じたり気まずかったりすることはないですか?
都合のよい鈍感力のおかげか、ありません。もちろん申し訳ない気持ちや感謝の気持ちを持ちつつも、自分の人生において大事なタイミングである以上、ためらいなくお願いするようにしています。その代わり、周りのメンバーが休みたいときには気持ちよく送り出します。幸い所属部署だけでなく会社全体で休みを許容する風土が根付いているので、働きやすい環境にあると思います。
育児休暇の取得が多様性を意識するきっかけに
—— 部署内で一番に育児休暇を取得したトップバッターとして、今後男性社員の育児休暇取得を促進していくためには、何が必要だと思いますか?
日ごろから周りのメンバーとの間で信頼関係を構築しておくことが大切です。要はお互い様の精神ですね。育児休暇を取得する・しないに関係なく、誰しも仕事に対してポジティブに取り組めない時期があるものです。当然ながらアウトプットも落ちるでしょう。成果や効率性の向上は確かに目指すべきところであるものの、人にはしんどいときもあるわけで、多様性を維持していく上では、浮き沈みを含めてお互いを認めていくことが重要だと考えています。また、一人ひとりがこういうことを考える時間を持たないと、なかなか変わっていきません。そういう意味でも育児休暇の取得をお勧めしたいと思います。
—— 人から言われて多様性を意識するって、実は難しいのかもしれませんね。当事者になってみて初めてわかることがたくさんありそうです。最後に今後挑戦してみたいことがあれば教えてください。
今は子育てに比重を置いているため、仕事上の明確な目標を問われると即答しにくのですが、お客様のくらしや社会を変えるような商品を自分きっかけで生み出したいという思いはあります。日本は市場が狭いので、事業成長に寄与するような、グローバルで売れるものを目指したいですね。8月から3月まで2回目の育児休暇に入る予定なので、改めて働き方を見つめ直すきっかけになりそうです。